柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

矛盾

『俺はあばれはっちゃく』第39話でヒトミちゃんが芸能界デビューする話があり、母ちゃんの言葉を発端にして、母ちゃんとてるほ、父ちゃんの会話が始まる。

「モデルっていいお金とるんだろ?」
「それりゃ、売れっ子になれば凄いんじゃないの?」
「羨ましいねぇ」
「はっ、何言ってやがるんでぃ。子供のうちからな。働く事なんて覚えなくたっていいでぃ。長太郎、お前は子供らしくのびのびとしろ」

 言い終わって父ちゃんは長太郎の背中をポンと叩く。子供の頃はこの場面を見ても何の違和感も感じなかった。そもそも、私は『はっちゃく』に登場してきた彼らをそのまま劇中の人物として受け止めていて彼らが子役で実は芸能人であったとは微塵も思っていなかったから。

 しかし、今では違う。長太郎の吉田友紀さんも、姉のてるほの島田歌穂さんも、ヒトミちゃんの早瀬優香子さんも、子役で芸能人であり子供の時から働いている事を知った。吉田友紀さんは就学前から芸能界で働いてきた。彼らは仕事の為に学校を休み、早退して、ドラマの中の学校へ登校していた。私が彼らを芸能人だと思わずドラマの中の人物として受け止めていたのは、当時はこの作品以外で彼らを見る事がなかったからだと思う。それに、ドラマの世界は自分達の世界とよく似ていて、感じる所が多かったのもあったと思う。

 父ちゃんの言葉を聞いて見ていたはずの視聴者だった子供の中には吉田友紀さんに憧れて児童劇団に入団した人もいたかもしれない。『サンキュー先生』に出演した子役の人達の中には吉田さんに憧れて児童劇団に入団した人もいるというのがウィキペディアに書いてあった。5代目長太郎役の酒井一圭さんは、はっちゃくになりたくて子役になっている。

 父ちゃんの目の前には既に子供のうちから働く事を覚えていた2人の子供、吉田友紀さんと島田歌穂さんがいて、その2人はそれから31年たっても働き続けている。東野英心さんは子供の為に児童ドラマの復活を目指していたという。それは、子供の頃にこうした子供を対象としたドラマで育った私にとっても嬉しい事ではあるが、その裏には子役と呼ばれる人たちの子供時代を奪うという事になるのではないか?という考えも出てきた。

 芸能界の仕事も子供時代の一部でいい思い出として残る事もあるし、子役として働く事が必ずしも不幸とは思わない。それが人生の財産になっている人もいると思う。

「子供のうちから働く事なんて覚えなくてもいいんだい。長太郎、お前は子供らしく伸び伸びとしてろ」

 長太郎ではない既に働く事を覚え他人の目を気にしてきた生きてきた吉田友紀さんは、どんな気持ちでこの台詞を聞いていたのだろう?と、この時の長太郎の何とも言えない表情をみると、つい、考えてしまうのだ。

 そういえばこれより2年前の『すぐやる一家青春記』の中で吉田友紀さん演じる智之が歌をすぐに覚えた中嶋朋子さん演じる由香ちゃんに言ったっけ。

「ジャリタレにしたら稼ぐんじゃないかな?」

前にも書いたけどジャリタレにしたら稼ぐんじゃないかな? - 柿の葉日記
それから、33年経って2人ともまだ芸能界で働いている。