柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

僕だって

「待った!僕を置いていくつもりですか?先生。僕だって今まで命を賭けてきたんですよ。それに弟としてお姉ちゃん一人を死なせられない」

 ムー原人との最後の闘いに赴く高井戸博士に次郎はそう言って一緒についていきます。『鉄人タイガーセブン』の次郎はまだ小学生でありながら、常に心は一人前のつもりで、いえ、一人前でいました。次郎は最初から高井戸研究所の一員として、そこにいました。第1話でサハラ砂漠でムー原人たちの事を調べている滝沢博士達からの連絡がない事を不審に思っている高井戸博士達に次郎は自分の意見を述べています。それを姉であるジュンに窘められますが、次郎は自分の推測に基づいて反論します。次郎の発言は当てずっぽうではなく、彼なりの知識と経験から考えての言葉で時にその発言が的を射てる事もありました。

 高井戸博士は次郎の意見を子供の意見として笑う事なく、一つの可能性のある意見として受け止めています。第1話でジュンに窘められた次郎の発言も、第24話でも三平に否定された次郎の言葉もちゃんと汲み取り、擁護しています。

「きっと、ムー原人寒いから冬眠しているんだよ」
「熊じゃないんだぞ」
「いや、ムー原人はもともとサハラ砂漠にいた人間だ。次郎君の考えもあながち否定できないぞ」

 第2話でジュンがミイラ原人にさらわれた時も高井戸博士達と一緒に探しにいこうとして高井戸博士達についていきます。待っているように言われても、次郎はそれを拒否します。

「危ないから次郎君は待っていなさい」
「嫌だ!」

 次郎は子どもだからといってただ待っているのは嫌だったのです。そんな次郎の気持ちを汲んだ高井戸博士は次郎に役割を与えます。

「よし、じゃあ次郎君は連絡係りだ」

 次郎はそれに納得して連絡係りとして待機します。これは、子どもである次郎を危険な場所へ行かせたくない高井戸博士が次郎の気持ちプライドを大切にしながら与えた仕事でした。

 こうした高井戸博士の次郎を子ども扱いしない(子どもとしてみていても)次郎個人の気持ちを大切にしていた態度はなかなか出来るものではないと思います。作中でも「やれやれ」と思われている所はありました。確かに次郎の発言や行動は子供のくせにと思う所はあるのですが、次郎は次郎なりに常に一生懸命で逃げることなく立ち向かっていったと思います。小さくてちょこまかしてましたけど、第21話でミノムシ原人から剛を守った時も、北川さんが剛を責めた時も次郎の存在は剛の救いだったと思います。姿は子供でしたが次郎の心は高井戸研究所のメンバーと同じ立場でした。それでも子供の無力さ故に冬子ちゃんを助けてあげる事も出来ず泣く事しか出来なかった時もありましたが。

 だからこそ、最後の闘いに向かう時の次郎の言葉を高井戸博士達が聞いて少し呆れながらも否定することなく「よし、それでこそ男の子だ」と言って高井戸博士は次郎を連れていったのだと思うのです。次郎は子供だからと言って甘えることなく、常に剛やジュン、三平を守り助け、父親を亡くした北川さんの気持ちを思いやり、高井戸博士の事を敬って高井戸研究所のメンバーとしてムー原人達と闘っていたのだと思います。