柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

お父さんお墓の中で寂しがっているのかもね

 『鉄人タイガーセブン』第13話で次郎がムー原人に襲われる怖い夢を見てその夢の中で剛兄ちゃんに助けてもらえなかった事にショックを受ける。すると、その夢に死んでしまった父親が出てきて次郎を助けようとしてくれる。次郎がそんな夢の内容を姉であるジュンにするとジュンは次郎と一緒に枕元にある父親とジュンと次郎の三人が一緒に写った写真を見て呟く。

「お父さんお墓の中で寂しがっているのかもね」

 その写真に母親の姿はない。ひょっとしたら、写真を撮っているのが母親とも考えられるが、それも、5年前発掘調査中にろくろウィルスに侵されて青木博士が亡くなると青木博士の友人である滝川博士が二人を引き取り育てている所から違うのではないかと考えられる。母親がいるにも関わらず、二人の姉弟だけを引き取って育てるとは思えない。ジュンと次郎は滝川博士の家に住んでいるが、そこに二人の母親の姿はない。

 子どもを母親から引き離してまで育てる事はしないと思うし、母親のいない写真を見てもジュンと次郎の母親は青木博士が亡くなる前に既に他界しているか、もしくは離婚して別れていると思われる。次郎は小学生でこの時次郎を演じていた吉田友紀さんが当時7歳なので、恐らく劇中の次郎も同い年だと思われる。すると、青木博士は次郎が2歳の時に亡くなっているという事になる。母親はそれより前にいない事になるから、次郎が2歳よりも小さい時、もしかしたら赤ん坊の頃に亡くなっている可能性もある。すると、ジュンは母親の事を覚えているかもしれないが、次郎は母親を知らないかもしれない。

 しかし、それで次郎が寂しがっている様子は物語の中では見られない。次郎だけでなくジュンも母親の事はあまり話さない。と言うより『鉄人タイガーセブン』では青木姉弟に限らず、あまり母親の姿は登場してこない。主人公の剛も父親との関係(因縁)は描かれるがそこに母親は介入してこない。というより影も形もない。第17話で北川さんの父親と妹は登場するが母親は登場してこない。三平にいたっては父親も母親も登場しない。

 なんというか『鉄人タイガーセブン』の世界には「母親」という存在がそもそもないというように感じられる。唯一母親が出てきたのは第23話で剛がバイクで轢いてしまった子供の母親ぐらいだったと思う。この作品は母親が不在で父親と子供の関係を中心に話が語られていたと思う。剛が滝川博士に反発してオートレーサになった事、それに対して滝川博士が酷く落ち込み悲しむ姿を見て剛に苛立ちを感じている北川さん、剛の復讐の戦いに巻き込まれ父親を亡くしてしまった北川さんの自分の父親に対する思い。父親ではないが、青木博士、滝川博士がいなくなった後に剛達の父親代わりとしての役割を担った高井戸博士と剛達の関係。その全てが父親とその子たちとの関係に見えてくる。

 本編から少しずれてしまうが、タイガーセブンのスーツアクターの鴨志田和夫さんが次郎役の吉田友紀さんの父親なので、益々この作品の父と子の関係が私の中では強くなっている。思うに母と子ではなく父と子の関係を描いたのが『鉄人タイガーセブン』だったのかもしれない。