柿の葉日記

主にドラマ『あばれはっちゃく』について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

智之と紀子さん

「すぐやる一家青春記」の智之と紀子さんは出会いが最悪で二人とも仲良くならない。第5話で一郎さんに仕事の相談に来た紀子さんは智之に睨まれて少し萎縮する。紀子さんが来るまで、にこやかだった智之の顔が急に不機嫌になる。その智之の表情や態度の変化、智之は不満を顔や態度には出しても言葉には出さないで相手に嫌いだという信号を送る。「保母の資格を生かして保育園で働きたいと思うんだけど」と話し始めた紀子さんだったが、智之の信号を感知した紀子さんは智之の様子を見ながら「私ってどういう訳か子供向きじゃないのよ。出来ればお年寄りのお世話をしてみたいの」と話をする。そんな訳で紀子さんは市役所のお年寄りを扱うお世話係の一郎さんとともにヘルパーの仕事を始めていく。

相馬家の一郎さんと瞳の二人の兄弟は紀子さんの美しさに(特に一郎さん)はメロメロだが、紀子さんは兄弟の末っ子で小学生の智之からは嫌われるし、相馬家のお年寄りの儀平さんにも嫌われてしまっている。何故か、間の年齢には好かれてもその端と端には嫌われる紀子さん、紀子さんもそれに対しては平気な所があるが、やはり少しは気にする。第2話でも智之から「大ブス、小ブス、おかちめんこ」と言われた紀子さんは一郎さんと歩きながら、「私ってそんなにブス?」と聞いてきている。智之がというよりも、自分に対して悪意のある言葉を聞けば人間ならば、大なり小なり気にしてしまうのは仕方がないことだと思う。相馬家では、紀子さんに対して智之とお祖父ちゃんの儀平さんだけが好意的ではなく、紀子さんも儀平さんに対しては結構、歯向かって言い合ったりするのだが、智之相手だと相手がまだ子供だからなのか、儀平さんに比べると歯向かってこない。それでも、睨まれてあっかんべーをされればやり返していたりしたけど、その程度。

紀子さんと智之が和解するとか、智之が紀子さんを好きになるという展開はなく話は進んでいく。故に、第8話で紀子さんが智之の事を「智ちゃん」と呼ぶのに驚いてしまう。こうして見ると、智之の嫌いだという信号を感知して様子を見ながら話したりしていた紀子さんは智之と最悪の出会い方をして嫌われてしまったけれど、隣人として仲良くなりたかったんじゃなかな?と思う。紀子さんと智之の間に流れていたこうした微妙な空気というのはやはり智之を演じていた吉田友紀さんの巧さがあるのだと思う。あの、智之の目で訴える怒りというか表情というのは自然で紀子さんとの間にピリピリとした空気をしっかりと作りだしていた。そして、それを受け止める紀子さん役の夏目雅子さんの演技。それがあって初めて二人の微妙な間が出来上がる。ドラマはこの二人だけでなく、他の登場人物達の間もそれぞれの登場人物たちの間で複雑に出来上がっていき、それが集まって一つのものへ収斂されていく。

そうした人間関係の面白さが「すぐやる一家青春記」の面白さの一つだったと思う。