柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

僕、邪魔?

『すぐやる一家青春記』で麗子さんと瞳が話をしている時に、智之が言った言葉。それに対して麗子さんがちょっと困ったように答えると、智之は少し寂しそうに拗ねる。それを見た麗子さんは慌てて智之を心配するが、智之は2階へ駆けあがっていってしまう。

「僕、邪魔?」
「うーん、ちょっと邪魔かな?」
「いいんだ。僕はいつだって独りぼっちなんだ」
「あ、嘘よ!智ちゃん!」

 相馬家の三男の智之は元気で悪戯好きなそれでいて金銭面に関してはしっかりしている男の子。末っ子のせいか、智之自身がしっかりしているからなのか、父親の雄作さんも長男の一郎さんや、次男の瞳よりはほったらかしにしている印象がある。一郎さんが紀子さんの事で悩んでいる事や瞳が監督をしている野球部の事等はかなり心配していて、父親として意見する事が多かったが、智之に関してはお千代さんから言われて初めて気づくくらいだから、あまり智之の事は気にしてないのか、まだ小学生だからそんなに心配する必要がないと思っているのか、智之は大丈夫という安心感があるのかと思ってしまう。

「あら、智ちゃんがうちの由香の面倒を見てくれてるのを知らないんですか?いつも学校帰りに寄ってくれてるんですよ」
「あいつ、いつの間に」

 実際、智之は三兄弟の中で一番心が強く、タフな面がある。先にあげた場面でも智之はケロッとして、麗子さんと気まずくなった場面を目撃されてその現場を他の人に知られたくない瞳に対して口止め料を請求している。相馬家は母親が既に他界していてドラマには登場してこない。末っ子で小学生の智之は兄二人一郎さん、31歳、瞳、28歳と比べると母親との思い出が少ない。智之は時々寂しさをみせた事もあったが、その後は心配したのが馬鹿馬鹿しいほどケロッとしていたりするので安心する。だが、お千代さんと父親の雄作さんの結婚が駄目になって呟いた時に、智之は実は本当に寂しかったんだなって事が分かる。

「由香ちゃんのお母さん、いい匂いだったのになぁ」

 智之が最終回で家を取り壊す事を決めたお祖父ちゃんに訴えるのを見ると母親との少ない思い出しかない智之にとっては家そのものが母親との思い出で匂いの残る形見なのだろうと思う。(雄作さんの甥で居候で相馬家の母親代わりで智之の面倒を良く見ていてくれた武志さんにとっても、この家は皆との思い出がある大切な生活の場所で、だからこそ家を取り壊す事に賛同した一郎さんや瞳に対して「ただ、ここを寝て起きて食べるだけの場所だと思っているんだから!」と怒ったのだと思う)

「この家がなくなっちまったら、死んだおばあちゃんの匂いもお母さんの匂いも、お祖父ちゃんの匂いもなくなっちまうじゃないか!それでも、いいのか」

 智之は手作りの旗を級友に売りつけたり、鶏の件で紀子さんの家の塀に落書きをしたりして迷惑をかけて手を焼く悪戯好きな男の子と言う印象もあるが、それ以外は末っ子でありながら3兄弟の中では一番親に心配をかけさせなかったしっかりした子だったと思う。母親がいない寂しさを持っていても、それを表に出す事は少なく平気でいた。由香ちゃんと別れる事になった時も智之は強かった。決して泣く事はなく、駄々をこねる事もなく由香ちゃんとさよならした。
 
 智之は自分の立ち位置や立場が分かっていて、それでもちゃんと自分で自分の場所を確保出来ていたから、(父親の雄作さんの知らないところで由香ちゃんと仲良くなったり、学校でクラスメイトの女子たちと仲良くしていたり、学級長に立候補していたり、級友と遊んでいたりして)邪魔扱いされても、そこに自分の居場所がなくても、平気だったのかなと思う。