柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

すれ違う心

『気まぐれ本格派』第25話は小学5年生に進級した新ちゃんの新しい担任のすみれ先生が家庭訪問にやってきます。この時袖子さんは親戚の結婚式の為に北海道の実家に帰っていて、一貫が袖子さんの代わりにすみれ先生の相手をするのですが、一貫はドジをしてすみれ先生に大変失礼な事を連続してしまい、印象を悪くしてしまいます。すみれ先生にはこんなことを言われる始末。

「あなたみたいな野蛮な人が新太君の保護者…」

そんな一貫とすみれ先生のドタバタをこっそりと見ながら新ちゃんは膝を抱えてしまいます。

「ああ、俺、知らねー」

一貫はなんとかこの失敗を取り戻すために必死になってすみれ先生に持たれた印象を払拭しようと頑張りますが、そんな一貫の行動を見て周りは一貫がすみれ先生に気があるのでは?と勘繰ります。しかし、一貫がすみれ先生の印象を良くしようとしていたのは、すべて新ちゃんの為。すみれ先生が言うように新ちゃんは成績も行儀もいい優等生。

一貫からしてみれば自分の失態のせいで新ちゃんが新しい担任の先生に悪く思われたら困る、そう思って必死になって悪い言葉かもしれませんが、すみれ先生の点数を稼ごうとしたのかもしれません。しかし、これは新ちゃんにしてみたら余計なお世話というか、やって欲しくない事でした。

新ちゃんは一貫が大好きだから、寧ろ、自分と一貫を比較されて一貫がすみれ先生に悪く思われるのが嫌だったのかもしれません。だから、新ちゃんは新ちゃんらしくない行動を起こして、すみれ先生に水をかけたり悪戯をしたのかもしれません。しかし、その新ちゃんの行動は一貫を混乱させます。一貫は新ちゃんの為を思ってすみれ先生に良くしているのに、新ちゃんはそれが嫌。級友たちからも嫌味を言われてしまいます。

「ほら、見ろよ清水、やっぱりおまえんちの叔父さんは先生のとこにゴマすりに飛んできたんじゃんか。清水は頭いいしさ、テストはいつも百点だし、叔父さんは先生のとこにゴマすりに飛んできてくれるし、羨ましいよなぁ」

新ちゃんは嫌味も嫌だったのかもしれませんが、すみれ先生に失礼な事をしてしまった一貫が、そのせいで新ちゃんが不利な立場にならないかを心配しすぎて過剰にすみれ先生のご機嫌を取っていたのが嫌だったのかもしれません。新ちゃんは「中叔父ちゃんがそんなに気にしなくても、僕は大丈夫だよ。だから、そんなにしなくていいよ」と言いたかったのかもしれません。でも、新ちゃんはそれを言えなかった。なんとか、態度と行動で一貫に分かって欲しかった。でも、一貫は分かってくれない。すみれ先生に悪戯ばかりする新ちゃんを怒る一貫に新ちゃんは叫びます。

「ああ、いいよ!じゃあ、中叔父ちゃんも約束してくれよ!僕が居残りさせられても決して学校にくることはしないでくれよ!

しかし、一貫はこの新ちゃんの言葉の意味が分かりません。相変わらず、すみれ先生のとこへいく一貫を見て新ちゃんは呟きます。

「分かってないなぁ。中叔父ちゃん」

そして、新ちゃんはついにテストを白紙で出して0点を取ってしまうのです。今まで白紙でテストを出したことも、ましてや0点を取った事のない新ちゃんに一貫と小太郎は驚き、その態度の悪さから新ちゃんをを叩きますが、新ちゃんから「嫌いだ!」と言われてショックを受けます。一貫はその0点の答案を持ってすみれ先生の所へいき、そこですみれ先生から新ちゃんの気持ちを聞かされます。

「あなた、どうして清水君の気持ちを考えてあげないの!この0点はね、清水君が貴方につけた点数なのよ!清水君はね、世話を焼かないでくれって叫んでいるのよ」

ここで、初めて一貫は新ちゃんの気持ちと行動の理由を知るのです。すみれ先生に叱られて一貫は新ちゃんに謝ります。しかし、気まずくなった一貫は銭湯にいって中々帰ってきません。新ちゃんもすぐに態度を変える事が出来ないでいます。そんな二人を見ながら小太郎と楓さんが新ちゃんに言います。

「兄貴は兄貴なりにお前の事を心配してたんだから許してやれよ」

新ちゃんはしばらく静かに考えた後、おでん屋に寄り道してすみれ先生の父親で新ちゃんの学校の校長先生に愚痴をこぼしている一貫を見つけて声をかけます。

新ちゃんは帰りずらくなった一貫を許し迎えに来てくれます。新ちゃんにとって今回の一貫の行動は、例え自分の事を思って取った行動だったと分かっていたとしても、自分の気持ちや立場を無視した行動で、それで物凄く悔しくなんとも言えない複雑な思いをしています。

「中叔父ちゃんなんて、死んじゃえばいいだ」

言そのイライラを釣り堀の水面にぶつけてみたり、言葉に出してみたり、普段の新ちゃんならしないような言動をしていたのを見ると、心の中ではどうにも抑えきれない一貫に対する苛立ちがあったと思います。でも、新ちゃんはそんな自分の気持ちを抑えて、自分の為に一生懸命やってくれてそれが的外れで落ち込んでいる一貫を心配して、何事もなかったようにおでん屋の屋台に迎えに来て一貫を許してくれるのです。

「中叔父ちゃん、何やってるんだよ。こんなところで?御飯だよ。心配させんなよ。どっか行っちゃったかと思うじゃないか」

「嫌いだ」と言われた甥っ子の優しい言葉に一貫の目は潤み喜びに溢れます。一貫は迎えにきた新ちゃんを抱き締めながら校長先生に言うのです。

「こいつね、俺の星なんだよ、希望の星なんだよ、俺、俺と違ってねキラキラと輝く希望の星なんだよ。俺、可愛くて、俺」

一貫も新ちゃんも互いにお互いを思いやってそれぞれに行動したものの、その思いは両者ですれ違ってしまって誤解を生み、一時は二人の仲は悪くなってしまいましたが、最終的には元に戻る事が出来ました。相手の事を考えているつもりでも、それは時に相手の気持ちを無視した独りよがりな行動になっている場合があるのかもしれません、私事ですが自分にもそんな経験があります。ふと、その人の為に良かれと思って行動した事が単なる自己満足のお節介だとしたら、今、一度相手の事を見て考え直す事も必要なのだろうと思います。

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