柿の葉日記

主にドラマ『あばれはっちゃく』について語る個人ブログです。

共通の敵

「ヒトミちゃんの従弟かなんか知らないけれど、面白くないなぁ。ねぇ、長太郎君!」
「う、うん…」
「見てよ、仲良く肩なんか並べちゃってさ!あんな奴絶対仲間になんか入れないよね!」

第27話で長太郎と正彦、公一の三人が祭り太鼓の練習をしていた時に突然現れたヒトミちゃんの従兄弟のサトル君にその出来の悪さを批判され、怒りを露にした時の正彦の言葉。先に怒りを見せたのは長太郎の方だったが、そのすぐ後で正彦のほうが長太郎が戸惑うくらい強く怒りを表し、先に怒った長太郎のほうが少し萎縮して正彦の勢いに押されている。

普段の正彦は冷静で余裕があるのか滅多に挑発に乗ることはなく物事に対処している。そんな正彦が長太郎が戸惑うくらい不快な感情を出すのは珍しい。長太郎も普段にない正彦の勢いにびっくりしたのではないだろうか?正彦と長太郎なら、正彦は自分のほうが優位にいると思っているのかもしれない。(長太郎も自分に自信を持っているので、自分が正彦よりも劣っていて駄目だとは思っていない)

自分のほうが優位な立場にあるという気持ちは精神的に余裕を生む。また、ヒトミちゃんも最初の頃はさほど長太郎を相手にしてなかったから、正彦は長太郎がヒトミちゃん絡みで因縁をつけてきたりしても、長太郎のことを笑って許してくれていたのかもしれない。だが、サトル君の場合はやはり、従兄弟ということもあってヒトミちゃんとも親密度が高い。長太郎に対して余裕を持っていた正彦もその点でサトル君に対しては余裕が持てなかったのかもしれない。だから、長太郎も戸惑うような上記の台詞を吐いてしまったのではないか?と思う。

正彦の剣幕に圧倒された長太郎は「そ、そうだ!正彦の言うとおりだ!よし、決めた!俺達は仲良くしてあいつは仲間にいれない!だけど、ヒトミちゃんは別だよね」と言う。正彦もそれに対して「当然」と答える。ここで決断をしたのは長太郎であったが、主導権は完全に正彦の方が握っている。普段、友人とはいえ正反対な性格の長太郎と正彦は少し反発する間柄だが、この時は公一も「ライバル同士が仲良くなるなんて珍しいな」と言うほど一致団結している。

人間は普段仲が悪くても、互いに共通の敵が現れるとその共通の敵を倒すために一致団結して互いに協力し合ったり、その仲が急速に硬く結ばれることがあるという。そうした心理を描いた藤子・F・不二雄先生の短編「いやな いやな いやな奴」という作品があるが、この作品に描かれた登場人物たちの心理と同じように、長太郎と正彦もサトル君という二人にとって共通のライバルの前で一致団結したのかもしれない。