柿の葉日記

主にドラマ『あばれはっちゃく』について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

親子

「気まぐれ本格派」第33話で新ちゃんの実の父親が登場してくる。新ちゃんの実の父親の今井さんは仕事でブラジルに行くことになり、その前に一目、実の息子である新ちゃんに会いたくて、10数年ぶりに袖子さんの前に現れた。今井さんは袖子さんが妊娠したのを知ると、袖子さんを捨てて新ちゃんが生まれる前に別れている。信じていた恋人に捨てられて傷心の袖子さんを救ってくれたのが、一貫の兄利昌さんだった。

今井さんは新ちゃんが生まれる前に別れている。だから、当然新ちゃんの顔を知らない筈だ。だが、第33話で登場した今井さんは冒頭で野球をしている新ちゃんを愛おしそうに見つめている。生まれる前に別れた11歳になる息子の顔をどうして今井さんは知っていたのだろうか?

袖子さんが新ちゃんの写真を送っていたとは袖子さんの態度を見る限り思えない。(今井さんが清水家に電話をしてきた時の袖子さんの表情。それは、忘れていた忌々しい過去を思い出したような複雑で深刻な顔だった)そうだとしたら、利昌さんが新ちゃんの成長記録を送っていたのではないだろうか?と思う。そんな描写はドラマの中では描かれていないけれど、会った事もない息子の顔を今井さんが知っていたとなるとそう思わざるおえない。

利昌さんは今井さんの事を許してなかったと思うが、例え袖子さんと新ちゃんを捨てたと言えど実の父親ならば子供の誕生や成長を知りたいのではないかと思ったりしたのではないだろうか、そう考えた利昌さんが、もしかしたら新ちゃんの写真などを送っていたのではないか、そして袖子さんの気持ちを考えて内緒で今井さんと連絡をとっていたのではないか?だから、今井さんが(自分で調べたのかもしれないが)清水家の家の電話番号を知っていたのではないか?と思う。

そう思うと、利昌さんという人がどれだけ優しく懐の広い温かい人だったのかというのが分かる。実の子でない新ちゃんを立派に育ててきた利昌さん。もし、利昌さんが生きていたら、日本に二度と戻ってこないと決意して仕事でブラジルに行くことになった今井さんの事を知ったら、きっと新ちゃんにちゃんと本当の事を話した上で、新ちゃん自身に考えさせて新ちゃんが今井さんに会いたいと言ったらきっと会わせていたかもしれない。

しかし、今井さんが再び袖子さんの前に現れた時には利昌さんは亡くなっていた。故に袖子さんを始め、一貫、楓さん、小太郎達は揺れ動き騒然となる。突然、現れた今井さんの望みはささやかだった。最初は実の息子の顔を一目みるだけで良かった。次は話がしたくなった。そして、最後は一度でもいいから親子でキャッチボールがしたかった。だが、それを叶えるのは少し難しかった。そこには今井さんが過去に袖子さんにした仕打ちと周囲の気持ちがあったから。

新ちゃんは偶然今井さんが実の父親だと知るが、それで取り乱す事もなく静かに受け止め、その事で喧嘩した一貫と楓さんを心配する。今井さんに同情する一貫と反発する楓さん。しかし、最後は楓さんも今井さんを許し、今井さんの願いを叶えようとした一貫の気持ちをくみ取ってくれる。一貫の計らいで今井さんは最初で最後の親子でのキャッチボールをする。

「上手いぞ新太君。この前の野球、あれは完全にセーフだったぞ」
「ありがと。おじさん」
「あれはホームランだ」
「上手いぞ、上手いぞ新太」

最後に新ちゃんの事を「新太君」から「新太」と呼び捨てに呼んだ今井さん。この一瞬だけ今井さんは他所のおじさんから新ちゃんのお父さんになっていたのだと思う。