柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

いつの間に

『すぐやる一家青春記』の物語は相馬家の隣に宮田親子が引っ越してくる所から始まる。宮田家の娘の紀子さんは美人で相馬家の長男一郎さんと次男の瞳はデレデレになる。瞳は麗子さんという恋人がありながら、「麗ちゃんもいいんだけど、紀子さんもいいだよなぁ」等と不届きな事を口走る。弟と同じように調子のいい所があるもの真面目な一郎さんも紀子さんに一目ぼれをする。瞳よりも奥手な一郎さんはその気持ちを上手に紀子さんに伝える事が出来ずに、いつも誤解されたり、自分で勝手に誤解したりして落ち込んだりする。

 相馬家の3兄弟の中で唯一紀子さんにデレデレしなかったのが三男の智之。智之だけは紀子さんに関心を示さず、恋人の麗子さんと紀子さんを両天秤掛けていた瞳に「あんなブスなんかより、麗子さんの方がずっーと綺麗だよね」と言ったりしている。智之は父親の雄作さんが市民の苦情から預かってきた鶏を大事に飼ってたが、相馬家は、引っ越してきた紀子さんに早朝の鶏の鳴き声がうるさいからなんとかして!と言われて、智之が可愛がっていた鶏を処分している。

 それからというもの智之は紀子さんの事を大声で「隣の女は大ブス、小ブス、バカヤロー!おかちめんこ」と言ってみたり、紀子さんの家の塀に鶏の落書きをしてみたり、朝、庭であっても互いにあっかんべーをしてみたりと相馬家の中で唯一紀子さんといがみあう関係になっていく。(ま、そうはいっても智之はまだ子供(演じていた吉田友紀さんは当時10歳)なので単なる喧嘩相手くらい、落書きはちょっと行き過ぎだけど)

 智之は紀子さんの事は「ブス娘」紀子さんも智之の事は「あの子」呼びするが、大雨の日に川の氾濫を防ぐためにすぐやる一課の人たちや瞳が監督する梅林高校の野球部の人たちが川へ土嚢を積みに行った時、相馬家に来た紀子さんは一郎さんにも行くように促す。

 一郎さんは紀子さんと一緒にいたい為に「ここで貴方を守ります」というのだが、紀子さんの方で「私は智ちゃんと一緒にいるから大丈夫」と断る。結局、雷がなって紀子さんに抱きつかれた一郎さんは残る事になるのだが、この場面を見た時、いつから紀子さんは智之の事を「智ちゃん」と呼ぶようになったのか?とびっくりしてしまった。あれ程、いがみ合っていたのに。

 智之は一郎さん、瞳、紀子さんの関係の中である意味子供と言う事で安全パイというか、かませ犬のような立場だった。紀子さんが「弟さんは?」と聞いた時に明らかに瞳の事だと分かるのに一郎さんは「智之ですか?」と聞いている。瞳だと一郎さんにとっては油断できない相手になってしまう。それは瞳の恋人である麗子さんも同じで、自分の恋人の隣の家に美人でしかも恋人の瞳が気にしている紀子さんの存在は心をかき乱す存在になっている。

 そんな4人の関係を蚊帳の外で見ていて、時にその関係がギスギスしすぎないように緩和剤として存在していたのが智之だった気がする。でも、「気まぐれ本格派」の新ちゃんは大人たちの恋愛に興味はなかったけれど、智之の方は意外と興味を持っていて面白がっていたかな?

 麗子さんが瞳と喧嘩をして家に謝りに来た時も(瞳は不在だった)しばらく考えてから、ニッと笑って「やっぱり、教えてあげようっと。あのね、麗子さん!あのヘボ監督ね、隣のブス娘の所にいるんだよ!」と帰る麗子さんの後姿に向かって叫んでいる。この回の話はここで終わるけれど、この後、麗子さんがどういう行動をとったかを考えるとちょっと怖いな。