柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

賽の河原の石積み

 吉田友紀さんに興味を持つようになってから、また、中山千夏さんの『ぼくらが子役だったとき』を読んでから、子役を意識するようになりました。私が『ぼくらが子役だったとき』を読んで思ったのは中山千夏さんの子役に対する偏見に対しての怒りでした。だから、素人でその世界をよく知りもしない第三者がこんな事を書くのも気が引けるのですが、それでも、私は個人的に思った事を私なりの言葉で子役について書いてみます。

 子役と言えば必ずセットで言われるのが「子役は大成しない」という言葉です。考えてみるととても残酷な言葉だと思います。子役の大半は自分から望んで子役になるというよりも物心がつく前に親に劇団に入れられて、気がつけば子役として仕事をしている人の方が多いです。(中には自分から望んで子役になった人、和泉雅子さんや酒井一圭さんなどもいますが)

 自分から望んでなった訳ではないのに、一生懸命仕事をして頑張って売れっ子になったとしても、結局言われる言葉は「所詮、子役なんだから大人になったら大成しないよね」という言葉。それは、自分の努力や頑張りが将来に繋がらない。と言われ続けるという事。その負担はいかほどのものか、まるでどんなに積んでも積んでも壊されてしまう賽の河原の石積みと同じ空しい努力を強いらせられているようです。

『ぼくらが子役だったとき』の本の中で矢田稔さんと中山千夏さんが語っています。

矢田「子役から大成する役者は少ない」というジンクスを、当時からよく聞かせれました。自分はそうはなりたくない、みたいなものに追いかけられていたんです。
中山 私も言われましたよ、しょっちゅう。まるでだめになるのを楽しみにされているような感じがして。

 2人に限らず子役でさらに役者を続けようと考えた人達は、「子役は大成しない」と言われ、きみには役者としての未来がない。と言われ続け、その否定された未来の中でどうやって大人の俳優として生き残ろうかと必死で考えたと思います。時に心が折れそうになるのかもしれない戦いはかなりのものではないかと思うのです。

 そうしたものを乗り越えて大人として役者を続けるのはどれだけのエネルギーがいるのだろう?だいたい大人でデビューした芸能人でもずっと第一線で売れ続ける人がどれだけいるのか?と思ってしまいます。浮き沈みの激しい芸能界で一桁の年齢から成人以後も売れ続け仕事をし続けなければ、どんなに売れた時期があっても、いいものを残しても「所詮、子役上がり。大成しなかったよね」で終わらされてしまう。(でも、子役出身の俳優さんは結構いるのです)

 本人が望んでなった訳ではないのに、努力して頑張ってもその頑張りが将来に繋がらないといわれ続け、生意気と言われ、有名人として学校でいじめられる事もある。子役というのは大変な仕事なのだとそう思います。
 
 そう思うと『俺はあばれはっちゃく』のDVDBOX2の解説書のインタビューで島田歌穂さんが吉田友紀さんに対して送ったメッセージにはその言葉の裏にとてつもない子役経験者同士でなければ分からない気持ちが隠されているのだと感じるのです。

「大成しないと言われる中で、お互い良く頑張ってきたよね」

ぼくらが子役だったとき

ぼくらが子役だったとき

俺はあばれはっちゃく DVD-BOX 2

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