柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

分かりにくかった気持ち

『気まぐれ本格派』を見ていると一貫と袖子さんが一緒になるように思えてくるのですが、結局そうなりませんでした。一貫と袖子さんが一緒にならないというのは、見ていれば分かります。袖子さんの一貫への優しさは実の妹の楓さんに対するものと同じもので義理の弟以上のものではなかったし、小太郎や霧子に対しても袖子さんは本当に優しく温かく見守っていたなと思うのです。そこに愛情はあったけれど、それは男女のものではなく、家族のもの。一貫はやはり貸衣装屋の仕事よりも船乗りの仕事の方が肌にあっていた。だから、一貫が袖子さんを好きでもそれは片思いで終わって二人が一緒になれない。という結末は予想がつきました。

 袖子さんは新ちゃんの実の父親の今井さんに捨てられてそれを利昌さんに救われて結婚してから、ずっと利昌さんを尊敬し愛し尽くしてきました。袖子さんが利昌さんが死んだ後も貸衣装屋を周囲から反対されても続けようとしたのは、周りの目には愛情からと言うよりも義務のように見えたのかもしれません。袖子さんが未亡人のまま人生を終えるよりは、袖子さんに好意を持っていて頼りにしている元さんと一緒にさせよう、鳩子にとっても新ちゃんにとっても異性の片親のままよりは、同性の親がいる方がいいだろうと周囲が考えるのも分かります。

 このドラマでは話の流れの中で自然と楓さんの一貫への反感から好意に変わっていく気持ちの流れ、小太郎さんの楓さんへの遊び半分の気持ちから真剣な気持ちへの変化が分かり誰が誰を好きなのかが分かります。(涼子さんの気持ちの変化も唐突だったのですが、それでも仕事に真剣な男性の姿を目の当たりにしてハッとして気持ちが変わるのがまだ分かります)

 しかし、こうして自然と分かっていく登場人物達の気持ちの中で私が分かりにくかったのが袖子さんの気持ちでした。元さんが袖子さんを好きなのはドラマの最初から分かりましたが、袖子さんが元さんを異性として好きになっていったのが分かりませんでした。喫茶店で袖子さんが元さんに「先生に口説かれたら私、どうにかなっちゃいそう」と言いますが、それは気心がしれた仲だからこそ言えた冗談だったように思うのです。

 袖子さんは元さんにいろいろと相談をしたり、風邪をひいた元さんの看病をしますが、それも昔馴染みの知り合いだからこそ出来た事だと私は思いました。だから、袖子さんが元さんを異性として意識していたとは私には思えませんでした。私には周囲が元さんと袖子さんを一緒にさせようとしても、それが少し不自然で話をまとめる為にしていったように感じてしまいました。