柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

本当と本物

 第28話で登場したヒトミちゃんのペンフレンドの信如(演:早川勝也さん)。彼は小学4年生でありながら字が達筆で難しい事を言う。信如は長太郎の家に泊まることになる。信如は遅くに出来た子供である自分を甘やかす父親が嫌いで、長太郎の家で長太郎と父ちゃんの喧嘩を見て羨ましがる。

 この親子喧嘩は食事の場面で行われたのだが、この時信如はお箸を左で持っているので左利きだと分かる。ここで信如は右利きの長太郎の右隣りに座っている為に肘と肘がぶつかっている。私事だが私の妹も左利きなため食事の時に並んで座る時は必ず妹の左隣りに座る習慣がついているので、この場面には違和感を感じてしまった。

 信如が左利きなのは演じている早川さんが左利きだからだと思う。特にこの話で信如が左利きというのは関係がないし、お箸を持つのは本来の利き手の方が使いやすいからだ。
私は左利きではないが、左利きの妹が言うには毛筆は左利きには使いにく物だそうだ。信如はヒトミちゃん宛ての手紙を毛筆で書いていて達筆なのですごいのではと思ってしまう。

 親に黙ってヒトミちゃんに会いに来た信如。信如は迎えに来た父親に長太郎と一緒なら帰ると言うが、長太郎は渋る。しかし信如は

「あ、そうだヒトミちゃんも誘おう」

 と言って会って間もない長太郎の弱点を早々に見抜きあっさり操縦している。
この時の長太郎の変わり身の早さといったらない。この間が絶妙で笑ってしまう。公一もという信如に長太郎が慌てて止めるが結局公一も行く事になる。長太郎には内緒でフェリーのチケット購入で見ている方には分かってしまうのも面白い。

 信如の家で彼の父親が信如の欲しいものをなんでも買ってくれる事を知った長太郎達は呆れ羨ましがるが、信如はそれに不満を示してこう言う。

「僕は本物のお父さんが欲しいんだ」

 これに対してヒトミちゃんがびっくりして聞き返す。

「何を言っているの?本当のお父さんなんでしょ」

 しかし、信如はこう返す。

「ヒトミさん、本当と本物は違うんですよ」

私が信如が難しい事を言うなと思ったのはこの場面。「本当と本物は違う」信如は父親に叱られたくて色々と悪戯するものの父親は怒ってくれない。欲しいものは何でも買ってくれる。それは一見優しいようでそうではない。

駄目な時は叱ってくれない子供の機嫌ばかり取ってるような親では本物ではないと信如は思っている訳だ。実は叱るというのはかなり難しいことなのではないかと私は思う。感情的に八つ当たりではなく叱る本人の為に叱るのは難しい。

 子どもを作ったり産んだりして親になるのは大変だと思うが、子を育てて自分が人の親になっていくというのはもっと大変だ。子供が生まれた時点で「本当の親」になれるかもしれないが、その後子供を育てていく中で「本物の親」になっていくのは並大抵の事ではない。

 信如の父親はこの話の最後に「本物の親」になる事が出来た。実のところ私はまだ「本当と本物の違い」(親に限らず)がまだよく分からない。でも、信如や長太郎は既にそれを知っているのだから凄いと思う。