柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

節分「鬼は外!」

 

アバンタイトル

目隠しをして、輪郭と髪型だけで目と鼻、口のないヒトミちゃんの絵に、目と鼻、口を書き込む正彦。周には恵子ちゃん、公一、明子、小百合、長太郎。目隠しをして、いかにちゃんと描けるかの遊びをしています。そこそこ、上手く描けた正彦の次が長太郎。公一の手に描きだしのところまで導かれ、大好きなヒトミちゃんの顔をヒトミちゃんを思い出しながら描いていく長太郎ですが、次第に顔の輪郭からはみ出していき、見守る周りはニヤニヤしていきます。目隠しをして、自分が描いたヒトミちゃんを見て、長太郎が一言。

「おかめだ」 

 すると、絵の向こうからヒトミちゃんが出てきて、長太郎にパンチ。

「酷いわね!」 

 ボクシンググローブをして出てきたヒトミちゃん。それで、長太郎達が描いていた紙が障子戸だったことが分かります。恵子ちゃん達は大わしゃぎ。長太郎はヒトミちゃんに殴られた目を抑えて、

「ヒトミちゃん、あんまりだよ」 

 で、オチ。

本編

幼稚園の場面からスタート。幼稚園の山口先生が園児に豆を配っています。

「皆さん、もうすぐ節分ですね。明日は日曜日で幼稚園はお休みですから、今日、みんなで豆まきのお稽古しましょう」

 すると、山口先生の掛け声とともに、赤と青のジャージを着て、鬼のお面をかぶった赤鬼に扮した長太郎、青鬼に扮した公一、正彦が出来て、暴れ出します。「鬼は外」の掛け声に鬼たちに豆をぶつける園児たち。「福はうち」の声におかめの仮面をつけたヒトミちゃんが出てきてにっこり微笑む。

長太郎達は、卒園した幼稚園の先生の頼みで、幼稚園の節分のイベントのお手伝いをしていたようです。

鬼に攻撃してくる園児の中で、赤鬼の長太郎にかみつく元気な園児の男の子。威勢のいい男の子を気にいる長太郎。山口先生は、その子次郎君が幼稚園時代の長太郎みたいだといって、二郎君を長太郎に紹介します。

長太郎と仲良くなり、長太郎の家にきた二郎は、引っ越しして離れ離れになった、はじめお兄ちゃんに会いたいと長太郎に一緒に、引っ越す前に住んでいた美川に一緒に言って欲しいとお願いします。初めは、二郎の依頼を断る長太郎ですが、二郎の熱意に負けて付き合うことになります。ただ、長太郎が公衆電話で家に連絡を入れている間に、はじめ兄ちゃんに似た人影を見つけて、追いかけていき、長太郎からはぐれてしまいます。長太郎はその二郎を探しに、奔走。バスの運転手の人に話を聞いて、二郎の行方を捜し見つけ出します。疲れて寝ている二郎を起こして、二郎からはじめ兄ちゃんに見つけた人を見たことを知ります。

夜になり、交通費もなくなり、二郎を背負いながら、家路につく長太郎と二郎。長太郎は、公衆電話で連絡を取ろうとしますが、公衆電話は故障中。

この話は、現代の携帯電話が普及して、当たり前になっている時代しか知らない若い人達にはピンとこないかもしれませんが、出先で公衆電話から連絡するしか手段のない時代ならではの話だと思います。

長太郎が警察に保護されて、父ちゃんに迎いに言ってほしいと母ちゃんは連絡しますが、父ちゃんは徹夜で仕事があり、母ちゃんが迎えに行くことに。父ちゃんが徹夜で仕事をすることで、母ちゃんが弁当を作っていた時に、長太郎が父ちゃんを思って、力水(お酒)もつけることを提案して、てるほがそのお弁当を届けている場面が、長太郎が二郎の相手をする前と、している間に挟まっているのですが、父ちゃんが自分のことを思ってくれている長太郎に感謝をしている分、長太郎から連絡もなく、二郎といなくなったことで、怒り心頭。

長太郎は、一度、電話連絡をしているのですが、その時は誰も電話に出てくれなかったのですね。疲れて寝てしまって、二度目の電話も出来なかったし。

電話での連絡がなく、小さい子と夜遅くまでいなくなったこと、警察に保護されたことで父ちゃんは、怒って、また長太郎を殴る。長太郎は、理由も聞かずに殴ったことを怒ります。電話一本の連絡もないことが、出来なかった、したくても出来なかったことが、父ちゃんと長太郎の仲たがいの元になってしまいます。

この話を見ていると、携帯電話のありがたみがよく分かります。

人様の子にも迷惑をかけて、お前のような「鬼っ子」は出ていけと追い出されて、長太郎はまた家出。佐々木先生と会って、事情を知った佐々木先生の家に一泊。

佐々木先生は、桜間家に電話をしますが、長太郎は逃げ出してしまいます。一方、桜間家には、次郎君とその母親が訪ねてきます。次郎君の母親は、迷惑をかけたことを詫び、実は次郎君が会いたがっていた兄のはじめ君が既に交通事故で死んでいたことを打ち明けます。

『俺はあばれはっちゃく』の中で、子どもの死が語られるのは、この話が初めてのように思います。14話で父ちゃんの恩師の大熊先生が戦死した息子の話をされましたが、遺影の写真と兵士として戦死したのを考えても青年になっていたでしょうし、小学生くらいの子どもの死が出てきたのは、この51話「帰れ鬼ッ子」だけではないでしょうか。

佐々木先生の家を出て、歩いていた長太郎を見つけた桜間家から出てきた次郎と母親は長太郎にも同じように、詫び、事情を話します。

二郎君が長太郎にわがままを言って振り回したのとは、違って、素直に長太郎に

「ぼくのお兄ちゃん、本当は死んでいたんだ」 

 とはなし、謝る姿の健気さ。それをみて、心を痛めた長太郎が、自分が二郎君の本当のお兄さんになってあげると約束します。あんなにも必死にはじめ兄ちゃんに会いたかった次郎君にとって、短い間でもはじめ兄ちゃんがどんなに弟を大事にしていた子かが分かり、その死を知ってショックを受ける次郎君を思って嘘を教えていた二郎君の親が起こした今回の騒動は、人の優しさが引き起こしていて、隠した真実は人を傷つけるけれども、新たな出会いと喜びも与えてくれるのだと感じました。

家に帰るようにと心配する次郎君の母親に、平気だという長太郎ですが、父ちゃんとの喧嘩で気まずく、帰るに帰れないまま、公一や正彦の家をうろつき、草で作った飾りをつけて、正彦達を驚かしていきます。ヒトミちゃんと佐々木先生が探しにきて、長太郎に、父ちゃんが仕事で徹夜続きで疲れているのに、長太郎を心配して探し回っていることを伝え、長太郎に家に帰るようにと諭します。

長太郎は、おでんの屋台で一杯やっている父ちゃんを見つけて話しかけると、長太郎に気がついているのに、気づかないふりをして父ちゃんが長太郎に聞えるように言います。

「ああ、可哀想に。鬼っ子はどこにいっても、『鬼は外』か?親父さん、この鬼にな、おでんやってくれ。腹、破裂するほどにな」

父ちゃんと長太郎は仲直りをして、家に帰ると家で待っていた母ちゃんとてるほが豆まきの豆をぶつけて、「鬼は外」父ちゃんと長太郎も負けずに応戦。

明日の節分に合わせて、「鬼っ子」と追い出された鬼の長太郎が、福になって家に戻ってきたそんな話。誤解やすれ違い、思いやりから生まれた嘘。

それも、和解出来て、新たな関係の生まれた二郎と長太郎、さらに深まった長太郎と父ちゃんの親子関係。「禍を転じて福と為す」ですね。

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ブログで大好きな『あばれはっちゃく』の事を書いてきて良かったこと

懐かしい『あばれはっちゃく』のDVDを見て、気づいたことや感想、作品や出演者や制作者の人達の事を調べてきて、良かったと思ったことは、出演者や作り手の方にブログにコメントを書いてもらった時でした。
 5代目あばれはっちゃく、長太郎役の酒井一圭さんがコメントを書かれた時、助監督の朝妻さんにコメントを書かれた時には、こんな無名の私のブログに目を通してくださり、コメントを書いてくれるなんて!って感激しました。
 それと、山際監督に直にお会いして、当時の制作のお話をお聞きしたのも良い思い出です。
ただ、『あばれはっちゃく』が大好きで、書いてきたことが、『あばれはっちゃく』を送り出してくれた人達に届いたことが、この作品を今でも大好きな人間がいることを伝えることが出来たのが、ブログを書き続けてきて良かったと思いました。
 ただ、好きな気持ちを発信してきた私が、この作品の素晴らしさ楽しさを伝えていきたいと個人の満足から、見知らぬだけど、同じ作品を好きな人達に伝えたいという、おごがましい気持ちを持ち、考え方が変化したのは、私に温かいコメントをくださるこのページやブログの読者の皆様がいるからです。
 あばれはっちゃく』を作ってくれた方々、ブログの読者の皆様、本当にありがとうございます。

『俺はあばれはっちゃく』で私が一番好きな話

 

アバンタイトル

剣道の防具をつけた長太郎が河原で、次々と襲い掛かる剣士を相手に戦いますが、最後は多勢に押されて袋叩きに。

本編

今回の脚本は、山根優一郎さん、監督は山際監督です。

昇降口からでてくる、正彦、公一、ヒトミちゃん、恵子ちゃん、手袋をしていても、手をさすり、背中を丸めています。佐々木先生が声をかけ、後ろから長太郎が、ヒトミちゃん達に声をかけます。

寒くても元気な長太郎に、ヒトミちゃんが風邪をひいたことがあるかと聞き、「ないよ」って答えた長太郎に、「馬鹿は風邪をひかない」という話題から、馬鹿な長太郎は風邪をひかないと結論づけて、笑いあいます。

ここは、7話(脚本・山根優一郎、監督・新津佐兵)で、ヒトミちゃんと恵子ちゃんが長太郎のことを、

「馬と鹿のストリップ」 

 と言ったことを思い出しますね。

家に帰ると、放送部のてるほが中学の昼休みに流す放送を録音していて、長太郎の「ただいま」の声を聞いた母ちゃんが「静かに」と長太郎に注意します。

てるほも、長太郎に声をかけ、録音は最初からやりなおし、カセットデッキにテープで録音するやり方が懐かしい。

てるほは、家族をテーマに家族のこと紹介する話をテープに録音していて、長太郎はその内容が気になり、夜にこっそりテープを聞いて、てるほが自分を馬鹿にして紹介していると早とちりをして、録音に細工をします。

長太郎がテープの途中で早とちりをしたのも、てるほの紹介の仕方もありますが、その前に、ヒトミちゃん達に「馬鹿は風邪ひかない」って、自分の事を「馬鹿」だと言われてからかわれたことが下地にあったりするのですね。

翌日、てるほは中学の昼休みに放送部員として、放送室にいますが、お腹の調子が悪くなり、テープを他の部員に渡しして、席を外すと長太郎のせいで内容が変わった放送を廊下で聞いて、長太郎がてるほのことを悪く言ったのが学校中に流れて、学校中の笑い者になったことを知り、てるほは家に帰って長太郎にあたり散らします。

てるほが家族を笑い者にしたからやったという長太郎に、「違う」と反論するてるほを擁護する父ちゃんと母ちゃん。

父ちゃんは、長太郎に「出ていけ!」と言い、長太郎も真冬の外に出ていきます。

そこで、美玉神社にきた長太郎は、放浪の旅をしている男性のお坊さんに出会います。

長太郎が家を追い出された理由を聞いたお坊さんは、自分と死んだお姉さんのことを長太郎にはなし、長太郎を諭します。

今回は、このお坊さんが長太郎に自分の経験を踏まえた上で長太郎を向かい入れ、長太郎のした悪い部分を長太郎に教えるのです。

でも、決して上から目線ではなく、お坊さんの経験した心の傷、後悔、寂しさを思い出しながら、長太郎に自分と同じような後悔や寂しさをさせないように、まだ、取り返しがつく時に、長太郎に間違った道を歩んでほしくないという願いがあって、話しているように、その語り掛ける表情と姿から感じ取れました。

お坊さんは、両親を早くに亡くし、七歳年上の姉さんに育てられましたが、そのお姉さんが癌で亡くなり、以後、お坊さんはお姉さんの霊を慰めるために、各地を回っているということ。お坊さんは長太郎に言います。

「たった、一人しかいないお姉さんを大事にしろよ」

お坊さんはお姉さんと仲は良かったそうですが、きっと、生きている間にもっと、お姉さんを大事にしておきたかったという思いがあって、てるほと喧嘩した長太郎をほっておけなかったのでしょう。

怒りに任せて長太郎を追い出したてるほも、真夜中に出て行った長太郎を心配し、ヒトミちゃんや公一に連絡をした母ちゃんの言葉に、「長太郎がどこにもいない」という情報に心配を隠せません。

翌日、昼休みからずっと、お腹が痛かったてるほがついに痛みに我慢できずに、苦しんでいるのを見て、父ちゃんがタクシーでてるほを病院につれていきます。

長太郎は、お坊さんのところで目が覚め、顔を洗って、家に帰ると、家の鍵がかかっていて、てるほと同じ中学の放送部員の男の子が待っていて、長太郎に校内放送で使ったテープを長太郎に渡します。

「君はひどい奴だな。そのテープ最後まで、よーく聞いてみろよ」 

男の子はテープを渡した時に長太郎にそう言って、テープを返しています。録音でてるほが長太郎の事を何と言っていたのかを知っているからこそ、男の子は長太郎にそう言ったのです。巻き戻しをするのに、テープの内容を聞くことはないと思いますが、長太郎のやったことやてるほのこれまでの学校での態度から、てるほがあんな録音テープを作るはずがないという気持ちが、内容を確認するという行為をさせて、男の子は内容を知ったのではないか?と私は、その行動がドラマの中で描かれていなくても、長太郎に言ったセリフから推測しました。

そして、てるほの学校や放送部で築き上げた人間としての信頼の高さも同時に感じたのです。

長太郎は、男の子の言葉に触発されて、録音テープを部屋で聞きます。

テープが流れ、てるほの言葉が流れていくのと重なって、長太郎の表情が微妙に変化をしていきます。この時の長太郎の次第に切なくなっていく、表情が私は好きです。

長太郎の複雑な心の変化をただ座っているだけで、顔の表情と目の動きだけで表現している吉田友紀さんのすごさ。

山際監督は、吉田友紀さんの表現力や身体能力の高さを高く評価され、褒めていましたが、こうした動きの少ないところでも、長太郎の感情をセリフがなく、聞くだけの場面でも自然に発揮できているところが、吉田友紀さんの演技力の高さを物語っていて、山際監督が吉田さんを褒めていたのも分かります。

 「でも、わたしは、勉強が大嫌いで、喧嘩やいたずらばかりしている弟が心の底では、どことなく憎めないんです。やはり姉弟の絆で強く結ばれているからでしょうか?おそらく、わたしたちは一生喧嘩をしながら、付き合っていくのかもしれません。だけど、わたしはそれでいいと思うんです。わたしは、この出来の悪い弟をいつまでも、面倒見てやるつもりなのです。次にわたしの母のことを話します」

長太郎は、リビングで母ちゃんの置手紙を見つけて、てるほが入院した病院に向かいます。ここでも、母ちゃんの手紙にある「重病」という言葉と、美玉神社で話をしてくれたお坊さんのお姉さんが癌で死んだことが、重なって長太郎の不安を仰ぎます。

今回の話は、長太郎が心理的に不安になり、行動を起こす理由付けの下敷きがちゃんと前振りがしっかりあります。

長太郎が病院に駆けつけた時、ちょうど、てるほが手術室に入るところで、長太郎はてるほに声をかけて励まします。手術中にてるほが癌ではなく、盲腸炎だと知って安心する長太郎。手術が成功して、長太郎は素直にてるほに謝り、てるほも長太郎を許します。一晩、長太郎がどこに行っていたかと父ちゃんがてるほに尋ね、長太郎が旅のお坊さんと美玉神社にいたことを話します。

長太郎は、美玉神社で裸足でお百度参り。正彦、公一、ヒトミちゃん、恵子ちゃんが来て話しかけて、てるほの病状を聞き、てるほの為に「お百度参りをしているんでしょ」と言って、「そんなの迷信、科学的じゃないよ」 って、正彦は言いますが、「長太郎は科学で解明できないことは、この世の中にある」と正彦の言葉を跳ね返します。

4人が話しかけるので、どこまでお百度参りをしたか分からなくなって、怒鳴る長太郎。そこへ、お坊さんが来て、長太郎に声をかけます。「何度でも、お姉さんが治るまでお参りすると良い」と。

家に帰ると、病院でてるほに付き添っている母ちゃんと電話をしている父ちゃんが長太郎を出迎え、てるほの録音したテープを聞き、てるほにはディスクジョッキーの才能があると言ってご機嫌で自分の事を紹介するてるほの言葉を聞いています。

それを聞く、長太郎の顔は嬉しそう。

入院して寝ているてるほのベットの横で編み物をしている母ちゃんが、窓の外で雪が降っているのに気がつきます。

「どおりで寒いわけだわ」

1980年当時、放送されていた時の神奈川県、東京に雪は降っていたのでしょうか?雪国だったら、降っていたかもしれません。今年、2018年には、東京に珍しく大雪が降って4日経ち、48年ぶりの大寒波が来ましたが、1980年のこの日もきっと寒かったのだと思います。その雪の降る寒さの中で、裸足でお百度参りをしいている長太郎のてるほへの優しい思いは、本当にすごいですね。

長太郎は、学校で盲腸の手術の後、おならを出す方法を佐々木先生に尋ねます。周りには、ヒトミちゃん、正彦、公一、恵子ちゃん、明子、小百合達もいて、口々におならの出し方を提案します。

その中で、佐々木先生は、体は一直線に繋がっているから、鼻を刺激すれば出てくるかもと言います。

これは、私が短大で解剖生理学でならったのですが、人間は、口と肛門が繋がった一本のホースみたいなものと考えが同じだと思います。

長太郎はてるほの鼻を刺激して、くしゃみをさせ、そのはずみでおならが出ます。結果、迷信よりも、現実的な方法でくしゃみを出させましたが、人を思いやる心があって、現実的な方法が出来たっていうのもあり、一概にお百度参りを侮っては駄目だなって思います。

最後の場面で長太郎が、ランドセルを放り投げて、長太郎の0点のテストの答案が出てきて、さらには、雪の中、裸足でお百度参りをしても、風邪をひいていない長太郎が、話の冒頭でヒトミちゃん達が話していた

「馬鹿は風邪をひかない」

というのを証明していて、話のオチになっています。

この話のてるほの長太郎を思う優しさ、長太郎がてるほを思う優しさがとても大好きで、私は『俺はあばれはっちゃく』全話の中で、この話が一番大好きなのです。

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2代目登場

 

アバンタイトル

公園に十字架と棺桶。棺桶からは、ドラキュラに扮した長太郎が出てきて、ヒトミちゃんを襲おうとして、声をかけ振り向いたヒトミちゃんがのっぺらぼうという、落ち。

本編

長く白いマフラーをして長太郎が、ドンペイと走っています。場面は変わって、タイ焼屋。小さい女の子がタイ焼きを焼いていて、ヒトミちゃん達が店の前で買ったタイ焼きを食べています。タイ焼きを焼いている女の子を熱心に見つめている男の子。

そこに、長太郎が走ってきた長太郎がタイ焼きを買いに来ますが、焼いて並べてあるタイ焼きにドンペイが興味を示して、それをタイ焼きやのおばさんが見て箒で叩いたことからドンペイが暴れて、滅茶苦茶に。

タイ焼きを焼いていた女の子の悲鳴に、女の子を見つめていた男の子が助けに入ります。長太郎もドンペイを止めるのですが、止めきれず、男の子の活躍で事なきを得ます。

今回は、このタイ焼きを焼いていた女の子とその女の子を見つめていた男の子がこの話の主役です。二人は、長太郎の小学校の4年生の澄子ちゃんと五郎。

五郎を演じていたのが、後に2代目『男!あばれはっちゃく』で2代目長太郎を演じる栗又厚さんです。

翌日、五郎のことが長太郎のクラスの話題になっています。五郎のことをどこの子かとヒトミちゃん達が自分たちの前の席に座っている長太郎に聞えるように聞きます。

 「だけどさ、昨日の力持ちの子、どこの子?」

「今度、私んちの近所に引っ越してきた、4年生よ」

「4年生にしちゃ、すごかったよね」

「力は強いし、喧嘩も強そうじゃない」

「顔もまあまあ」

「われらのはっちゃくも形無しってとこね」

「ほんと、メロメロだったもんね。はっちゃくもかなわないんじゃない?」

 五郎は、ヒトミちゃんの近所に引っ越してきた4年生。タイ焼きやで粉の袋などを持ち上げ片付け、騒動を収めた一連の出来事を見ていたヒトミちゃん達は、小百合から五郎の話題を出し、正彦が長太郎を意識したような表情で、「4年生にしてはすごい」と言い出します。

手前の長太郎の隙間から見える正彦の顔がニヤニヤしていて、これが明らかに長太郎に対する嫌味の言葉だと分かります。今回の監督は山際監督ですが、長太郎の後ろで長太郎を挑発する会話をさせ、手前の長太郎の憮然とした表情と奥でニヤニヤする正彦の表情を同時にとらえて対比させ、長太郎を怒らせているのが分かります。

一通り、ヒトミちゃん達の会話が終わったところで、手前の長太郎に会話に参加しなかった公一を登場させ、黙って聞いている長太郎に話しかけ、画面奥と手前の話を運ぶ場面の主導が入れ替わります。

公一に、勝手なことを言われていいのか?と聞いた長太郎は、あばれはっちゃくとしての力を見せつけ、教卓を持ち上げます。頭より高く持ち上げ、教卓の花瓶を割ったところで、佐々木先生が来て、怒鳴られ、廊下に立たされてしまいます。

すると、廊下には同じように水のバケツを持った五郎がタイ焼きを食べて立っていて、長太郎は、五郎に話しかけ、五本松のところでまっていろといいます。五郎は、食べていたタイ焼きを長太郎に投げて、長太郎はそれを口でキャッチして、佐々木先生にタイ焼きを食べていることを怒られてしまいます。

五郎は、それを肩をすくめて見ています。タイ焼きが五郎から長太郎に渡る動線が面白いですね。

約束の場所にきた長太郎と付き添いの公一。五郎がまだ来ていなくて、公一は長太郎が先生に長く怒られたせいだといいますが、五郎がやってきて、宿題を一週間分やらせていたことを話して、公一が長太郎といい勝負だといいます。

長太郎は五郎が自分を負かしたら、なんでもいうことを聞くというので、五郎はタイ焼きを食べて、相撲で長太郎と勝負します。行司は公一。

この相撲勝負は、この話49話の予告編でもやっているのですが、本編と勝敗が違います。

本編の勝負は引き分け。でも、年下の五郎が自分と引き分けたことで、五郎を気に入った長太郎。引き分けでも、お願いを聞いてくれるかと聞く五郎に、五郎を気に入った長太郎が承諾すると、五郎はタイ焼きやの澄子ちゃんに告白するのを応援してほしいとお願いして、長太郎と公一が五郎の恋の手助けをしてあげます。

澄子ちゃんのタイ焼きを手伝いに来た長太郎、公一、五郎。『およげたいやきくん』の音楽にのせてやってきます。ちゃんと、子門正人さんの歌声も聞こえています。

タイ焼きを作るのを手伝っている時に、澄子ちゃんのおばあちゃんの指輪が餡子に紛れ込み、300万円もする指輪を探す為に、公一の提案で知り合いに宣伝もかねて食べさせることをしますが、みんなが帰った後でも指輪が見つからず、残った五郎が残りのタイ焼きを食べて、指輪を探し出します。

五郎は澄子ちゃんに声をかけられ、デートの約束をします。

しかし、次の日、澄子ちゃんが約束の場所にいないので、五郎は長太郎のとこにいきます。タイ焼き屋に行くと、澄子ちゃんではなく澄子ちゃんのおばあちゃんがタイ焼きを焼いていて、澄子ちゃんが両親のいる九州に突然転校したことを告げます。

長太郎は、五郎に澄子ちゃんを見送るため、電車の見えるところまで走って行って、二人は、澄子ちゃんが乗っているであろう電車に向かって手を振ります。

五郎は、澄子ちゃんのおばあちゃんからもらった手紙を読みます。この手紙で澄子ちゃんは、「一年ほどで東京に戻ってくる」と書いていますが、これまでの映像からの推測から、初代『俺はあばれはっちゃく』の舞台は神奈川県だと特定出来るのですが、今回の脚本を書いた田口成光さんは、25話の脚本で伊豆に旅行に行った時にも、ヒトミちゃんに「東京に帰ったら」と言わせているので、田口成光さんの中では、『俺はあばれはっちゃく』舞台は「東京」になっていたのかもしれないなって思います。

田口成光さんの脚本で舞台が東京だとされるのは、ヒトミちゃんの言葉と澄子ちゃんの手紙の文面だけなので、他の佐々木先生やヒトミちゃん宛に書かれた手紙の宛先に書かれた住所で分かる「神奈川県」という物的証拠などは出てこないので、そう推測するのです。

近づいてくる世代交代

今回は、27話で後に2代目で正彦のポジションにつく、邦彦役の長野昇一さんに続いて、2代目で主役を演じる栗又厚さんが『あばれはっちゃく』シリーズに初登場した回でした。

初代長太郎役を演じた吉田友紀さんは、ゲスト出演した子役の中で、長野さんと栗又さんが出演したことを、あれはテスト出演だったと、DVDの解説書のインタビューで答えています。

あばれはっちゃく』の人気が出て、伊豆のロケが決まり、放送の延長が決まって、2代目の制作が決まり、次の時代の新しい『あばれはっちゃく』シリーズが企画され、その新しい『あばれはっちゃく』に出演する、主役とライバル役のテストを兼ねたゲスト出演だった訳です。

長野さんが演じた27話に登場したヒトミちゃんの従弟のサトルも、今回、栗又さんが演じた五郎も長太郎に負けず劣らない「あばれはっちゃく」振りを見せていて、次の「あばれはっちゃく」感を出していました。

長野さんのサトルがより、長太郎に近いのに対し、五郎は気が優しく引っ込み思案なところが少し長太郎と違いますが、いざというときに、力が出てくるタイプになっていました。

結果、長野さんは初代の正彦に当たる邦彦を、栗又さんは2代目長太郎を演じることになります。2人が継いだ新しい『あばれはっちゃく』、『男!あばれはっちゃく』がどんな作品になるかを当時1980年1月19日にこの話を見ていた視聴者が知るのは、後、もう少し先の話です。

2代目『男!あばれはっちゃく』は、『あばれはっちゃく』シリーズ全5作品の中で、一番長く続いた作品となっていきました。

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信じる者は救われる?

 

アバンタイトル

長太郎と正彦が向かい合いしゃがんで花占い。背景には着物を着て扇子をもって舞うヒトミちゃんの姿。それぞれ、ヒトミちゃんの自分への思いを「好き、嫌い」で占いますが、今回のアバンタイトルは、本編の内容にも通じているように感じました。長太郎と正彦の花占いの結果を公一が興味深く覗いてました。

本編

長太郎がランドセルを背負い勢いよく走っていくと、曲がり角で正彦の伯母にぶつかります。正彦の伯母さんは、持っていた占いの本をバラまき、長太郎は一緒に本を拾います。そこで、正彦から聞いた伯母さんが占いに狂っていることを長太郎が話します。

長太郎と別れた伯母は正彦の家にいくと、その正彦の家の玄関にはお札がたくさん貼られています。正彦が出てきて伯母と会話をしている態度を見ると、正彦は迷惑な様子。

今、正彦の伯母が言うには、正彦とその父親は運勢が悪いらしく、伯母はその運勢をよくするために占いやお札で良くしようとしているのですが、正彦は自分の母親が死んだ時も、運が悪かった時だという伯母に対して、呆れるよりも怒りの感情が強いようです。

今回は、ちょっとしたことで、皆がたまたま起きた悪いことを「運勢が悪い」と結び付けて占いを肯定していくのです。それを占いとは意味がないと否定するのは、占いを信じていない長太郎と占いに凝っている伯母の行き過ぎた行動に迷惑している正彦。

見ていて、普段なら結び付けない関連をつなげて、占い結果になるように話を作り上げてしまう、それを否定する材料は無意識に切り捨ててしまうという情報選択の怖さを感じました。

長太郎の家では、父ちゃんと長太郎が正彦の伯母の占い好きを笑いますが、母ちゃんは占いを馬鹿にしてはいけないと、否定する父ちゃんに自分との相性占いで結婚を決めたとか、家を建てる時の方角とかの話を持ち出し、占いを否定する父ちゃんを詰問します。

縁起を担ぐのは悪いことではありませんが、何でも悪いことを占いのせいにするのも考え物。

長太郎のクラスでは。最近テストが多いのですが、正彦は中学受験を目指していて、家で勉強をしていても、占いに凝ってきている伯母や仕事のミスでイラついている父親の騒がしさに勉強どころではない様子。

正彦が伯母や父親に困っているときに、勉強机の母親の写真に語りかけているのが印象的です。占いを信じて団結している伯母と父親のいる家で正彦の心を支えているのは、亡き母親なのだと分かります。

正彦の伯母の占い好きは、桜間家にまで及び、ドンペイが運勢が悪いから捨てろだの、「吉報水」というただの水を、勉強嫌いな子を勉強好きにする有難い水といって母ちゃんに渡すなどして、正彦だけでなく長太郎も正彦の伯母の被害にあいます。

母ちゃんが正彦の伯母に同調して、占いを信じ、てるほも占いの結果に従うように物事を見たり、父ちゃんも母ちゃんの言葉に信じたりと、理性的なてるほや占いを信じていない父ちゃんも母ちゃんや正彦の伯母の話に次第に同調していくのは、コミカルに描かれていますが、ちょっと怖い感じがします。

ちなみに一升瓶でもらった吉報水を父ちゃんと母ちゃん、てるほがテーブルの上に置いて見つめる場面があるのですが、この撮影の時に父ちゃん役の東野英心さんが、おかしくて笑ってしまいNGを出したことを、てるほ役の島田歌穂さんが、DVDの解説書のインタビューで話しています。

次第に占いを信じていく劇中の父ちゃんの心情とは逆で面白いと感じました。

そんな正彦がテストで回答欄を間違えて0点を取ってしまうというミス。今回は、長太郎がそんな正彦を励まし、一緒に励ました公一から長太郎のテストでの最高点が明かされます。

正彦の伯母にすれば、秀才の正彦が0点を取ってしまったのも、「運勢が悪いから」という理由になるのでしょうが、連日、正彦の家に押しかけ、大騒ぎをしてくる伯母が正彦の勉強の邪魔をしているのが一番の原因で、伯母自身が撒いた災いの種を運勢の悪さのせいにして、そこから甥の正彦と弟の正彦の父親を助けてやっているという伯母の自己満足が目立ちます。

伯母は占いを信じない正彦に信じさせるために、人を雇って正彦を危ない目に合わせてまでして信じさせようとするのです。

しかし、その工作が長太郎にばれて、長太郎が正彦とヒトミちゃんと3人で伯母に一泡吹かせます。それも、伯母が信じている占いを使って。

正彦の伯母が正彦達の為にしていたこと、占いに凝って正彦達が運勢が悪いと思って、それをよくする目にした行き過ぎた行動は、いつしか「正彦達のため」ではなく、自分が「信じた占いを信じさせるため」にすり替わってました。

 

長太郎は正彦の伯母をやっつけたことから、父ちゃんや正彦の父親から怒られますが、長太郎を殴ろうとした父ちゃんから正彦が身をもって守り、父ちゃんや正彦の父親に伯母に対して、言葉でも長太郎を庇います。もちろん、長太郎だって反論しています。

今回の48話は(監督・松生秀二 脚本・安藤豊弘)、正彦の強さを感じた話でした。また、父親に対する思いやり、母親に対する思慕。35話(監督・川島啓志 脚本・山根優一郎)で正彦の父親がお見合いをした時と同じように、正彦の父親と母親に対しての感情がかかれた話だと思います。

また、何でも悪いことを「運」だけだと考えるのは、また、それを信じていく過程の人間心理の奇妙さの怖さも感じた話でした。

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マンガ版『俺はあばれはっちゃく』

マンガになった『あばれはっちゃく

ご存知で当時読んでいた、あるいはコミックスを買っていた、今も所持している方達もいると思いますが、『俺はあばれはっちゃく』は1979年放送当時、漫画化されていました。

掲載誌は徳間書店の『テレビランド』この『テレビランド』で漫画家のくまのよしゆき先生によって連載されました。確認できる限りでは2代目『男!あばれはっちゃく』まで連載されていて、初代『俺はあばれはっちゃく』と2代目『男!あばれはっちゃく』分で全2巻。

ただし、1巻で『俺はあばれはっちゃく』の漫画の内容は完結しています。

マンガの舞台は東京郊外

このブログで、映像や言葉から分かる情報から、ドラマ版『俺はあばれはっちゃく』の舞台は神奈川県だと特定しました。

kakinoha.hatenadiary.com

 漫画版では冒頭からいきなり、

 ここは東京の郊外

 という説明から入り、舞台が東京であることが提示されています。ちなみに、山中恒先生の原作『あばれはっちゃく』には、確かな明記はないものの、正彦が東京からの転校生であること、ヒトミちゃんが北海道に転校していくことが書かれているので、少なくとも、東京でもなく、北海道でもない地域だと考えられ、架空の町「美玉市」であることしか分かりません。

東京郊外と東京を舞台にした漫画版『俺はあばれはっちゃく』にも、正彦が転校生として登場してきますが、どこからきた転校生であるかということは書かれていません。

原作とドラマの要素が入り混じった人物造形

漫画版を読んでいると、公一のことを長太郎が「もやし」と呼んでいたりして、原作の公一についた「オンナノコ」という呼び名が出てこないので、原作よりはドラマ版に近い設定で描かれていると思うのですが、佐々木先生が「エンマ先生」と呼ばれていて、怒りやすくて怖い先生になっていたり、正彦がのら犬をいじめていたりと、ドラマ版の人物とは若干の違いがあります。佐々木先生は、原作ではそんなに印象はないのですが、6年生の担任の大林フミ先生がヒステリックな一面があり、漫画版の佐々木先生は、原作の佐々木先生と大林先生がミックスされたような印象を受けました。

それでも私たちの佐々木先生

しかし、タイトルからしても、ドラマ版の漫画版というところから漫画化されているためか、ドラマの厳しくも優しい佐々木先生の要素が入っていて、単なる乱暴者になっていないのが、漫画版の佐々木先生です。

子どもだからとい言って情けをかけずに、長太郎と対等の立場で接してくれます。

長太郎が宿題を忘れたり、清掃時間に遊んでいたり、サッカーボールを追って花壇を荒らすたびに佐々木先生、「エンマ先生」は長太郎にげんこつをくらわすのです。

腹に据えかねて、長太郎が佐々木先生に戦いを挑み、その挑戦を受けて佐々木先生は砂場で長太郎と戦いますが、大人相手の佐々木先生に長太郎は負けてしまいます。

「なんでえ なんでえ 先生はおとなだもんな おれとケンカしたって勝のあたりまえじゃないか おれだって おおきくなったら…」

「なにをいうか長太郎 男同士の対決っていったのは おまえのほうだぞ おとなも子どももかんけいない おまえは負けたんじゃー 男らしくみとめんかー ばかたれ ひとりになって少し反省しろ」

「うるせ~っ エンマのバカヤロー 暴力教師~っ おまえなんか死んじまえ 死んじまえ~っ」 

長太郎は姉のてるほにエンマ先生のことを話しますが、てるほはそんな佐々木先生のいい先生といいます。佐々木先生が学校を休むことになり、いつものように叱れなくなった長太郎は調子が狂うというのです。

本気で佐々木先生が長太郎に向かい合い、悪いことをしたら、本気で叱ってくれる佐々木先生は、多少暴力的ではあっても、漫画版でも健在でした。なぜ、佐々木先生が学校を休むことになったかについては、漫画版を読んでみてください。

山中恒先生の原作ともドラマとも違う、くまのよしゆき先生が描いたまた別の漫画版『俺はあばれはっちゃく』『男!あばれはっちゃく』に違った世界の長太郎の物語を楽しむことができますよ。

新年あけましておめでとうございます

 

アバンタイトル

『賀正』と書かれた定式幕からスタート。黒子に扮した公一が幕を開けていくと、舞台の上には、着物を着た小百合、恵子ちゃん、袴を着た正彦、長太郎、着物を着たヒトミちゃんと明子のいつものメンバーが正座をして頭を下げています。金屏風を背に長太郎が新年の新年のご挨拶。

「明けましておめでとうございます。本年もよろしく、頼むわ」 

「よろしく」まではかしこまっていて、「頼むわ!」でいつもの調子に崩れる。それに合わせて公一が拍子をカンっと一つ。下手から、しめ縄をしたドンペイが登場してきて、舞台の上を走り回ります。もう、しっちゃかめっちゃか。

ドンペイの得意な顔がアップになり、長太郎が最後の締めの一言。後ろではヒトミちゃん達がキャーキャー騒いでいます。

今回の47話が放送された1980年の干支は申なのですが、ドンペイの登場もあって、今年2018年の戌年の新年に見るのに丁度よくなっていますね。

女の子たちの着物が綺麗で鮮やかで、着物に合わせて結った髪も可愛いです。

本編

富士山、しめ縄、門松、ドンペイの犬小屋にも正月飾りがあり、笛と太鼓の音が聞こえてきてお正月の雰囲気を醸し出しています。桜間家の玄関から出てきたのは羽織袴を着た父ちゃんと長太郎。笛と太鼓の音色は次第に出てきた二人に近づいてきています。玄関先にはドンペイが縄につながれて長太郎や父ちゃんの姿を見てはしゃいでいます。

父ちゃんが玄関先に戻り、母ちゃんとてるほを呼びかけ、長太郎は獅子舞の人達を待っています。ちょうど、母ちゃんとてるほも揃ったところで、獅子舞の人達も桜間家につき、獅子舞から顔を出して、父ちゃんとご挨拶。

「親方、おめでとうございます」

「いやあ、おめでとうございます。源之助さん、今年もパーッとやってくださいよ」

獅子舞をしている人を父ちゃんは「源之助さん」と呼んでいますが、これはオープニングのテロップに「獅子舞:松本源之助」と表示されているので、映像と検索したお写真を見て、江戸里神楽士師流家元4代目松本源之助さん、ご本人だと思われます。

4代目松本源之助さんは、大正13年東京に生まれ、息子の5代目松本源之助さんと共に江戸里神楽の発展、継承に貢献され、1984年に芸術祭大賞を受賞されるなど、数多くの賞を受賞されました。2004年11月11日に90歳で永眠されています。

江戸里神楽は、笛、太鼓、拍子の囃子に仮面をつけた無言劇のことで、今回の獅子舞は代表的なもの。

神楽は、出雲(島根県)を発祥にした民俗芸能で、鷲宮(埼玉県)を経て、江戸(東京都)へ来て、江戸時代中期におかめやひょっとこの面をつけた滑稽な面白さを出したものへと変化していったそうです。

4代目松本源之助さんは、第二次世界大戦終戦後、言葉の通じないアメリカ軍キャンプの慰問やフランスのキャバレー・ムーランルージュに1年間出演されたこともあるそうです。言葉の通じない外人相手に日本の伝統芸能をみせる。

なんだか、今回の『俺はあばれはっちゃく』の話に通じるところがあるように感じました。

4代目松本源之助さんの詳しい経歴などはリンク先で。

www.city.arakawa.tokyo.jp

 本職の方達が登場して、本物の獅子舞を見せてもらったのですね。長太郎がこの後、獅子舞の源之助さんに頭を噛まれますが、これも本当のゲン担ぎ。

さて、長太郎が獅子舞に噛まれているのを、襲われていると勘違いした白人の女の子が門松の竹で源之助さんを攻撃。この白人の女の子が今回の騒動の元です。

英語でまくし立てる女の子に何を言っているか分からない長太郎ですが、英語のヒヤリングが出来るてるほは、女の子の言っていることが分かって、勘違いしていると指摘します。

なんとか、女の子の騒動が収まり、部屋に入っていくと、女の子も一緒に入ってきてしまいます。しかも、土足で。長太郎が気が付いて注意しますが、外国人の女の子には家に上がるときに靴を脱ぐ文化がないので、知らないのですね。この前に、ヒトミちゃんとヒトミちゃんのママが長太郎の家に来たと思われる女の子を探して、大騒ぎ。佐々木先生、正彦、恵子ちゃん、明子、小百合、巡査の山本さんも巻き込んで人探し。

一方、桜間家では女の子にてんやわんや。唯一の頼りのてるほも友達と初詣に行くと逃げてしまいます。英語も分らない長太郎と父ちゃん、母ちゃんですが、父ちゃんは日米親交だといい、母ちゃんはジェスチャーを交えて、お雑煮を食べるか?と聞いてきます。

さて、お雑煮を3人前食べた女の子は長太郎と一緒に外に出ると、女の子が凧あげに興味を持って凧を奪ったり、それを長太郎がフォローしたり、神社にいくと女の子が破魔矢を勝手に手に取り、長太郎がお年玉で払う羽目に、神主さんの初釜も台無し、女の子が射った矢が初詣に来ていたてるほの髪の毛に刺さったりと大騒動。長太郎が文句を女の子に言うたびにキョトンとしているのが可愛い。

女の子にペースを乱されて天手古舞の長太郎のところに、女の子を探しているヒトミちゃんと正彦が合流。女の子の名前がエミリーで、ヒトミちゃんのお父さんの仕事の取引先のアメリカの女の子だと分かります。

エミリーは男の子に絡まれて、ヒトミちゃんが長太郎に助けを求めて長太郎が助けに入ります。しかし、二対一。正彦にも応援を頼みますが、正彦は及び腰。そこへ、山本さんがきて、佐々木先生、恵子ちゃん、明子、小百合も合流。長太郎は佐々木先生なら大学を出ているから英語が分かるという父ちゃんの言葉を思い出し、エミリーの英語が分からない佐々木先生に内心、大学出ていてもだらしがないとあきれ顔。

エミリーはヒトミちゃんと一緒に家に帰るのですが、家に戻ってきた長太郎はお正月から父ちゃんに張り倒してしまいます。父ちゃんが怒った騒動の殆どはエミリーが起こしたもので、長太郎はフォローに回っていたのですがね。

そこへ、エミリーがやってきて、父ちゃん達は歓迎するのですが、エミリーに振り回された長太郎はあきれ顔。ヒトミちゃんの家では、エミリーをもてなす為に洋風のお正月を演出して、パンやらお肉やらを用意、日の丸と星条旗を飾り付けて、とても日本のお正月と言えない雰囲気に。しかし、エミリーは抜け出して、桜間家でお節や雑煮を食べて、福笑いをして笑っています。そこへ、エミリーを探しに来たヒトミちゃんのママがエミリーがお餅を食べたことを知って、「可哀想」と言ったことから、父ちゃんが怒り、

「餅を食べて可哀想とはどういうこったい!」

 

ヒトミちゃんママも負けずに言い返す。だから、とばっちりが子どもにまで来て、長太郎に

「あそこのうちの子どもとは口を聞くない」

ヒトミちゃんと口を聞くななんて長太郎には、無理な話。それに、ヒトミちゃんは関係がないわけで。

さて、ヒトミちゃんのママに呆れているのは、長太郎達だけでなく、ヒトミちゃんのパパも同じ。ヒトミちゃんのママに苦言を呈するも、一蹴されて、そこにヒトミちゃんがエミリーがいなくなったと告げ、今度はヒトミちゃんとヒトミちゃんのパパで桜間家にいきます。

文句を言われると思ったのが、ヒトミちゃんのパパは一緒にお餅を食べて日本のいつものお正月を過ごしたいと申し出。そこで、エミリーが日本に来たからこそ、日本のお正月を楽しみたいことを知り、ヒトミちゃんのママに遠慮をしていたことを知って、ヒトミちゃんが長太郎の知恵を頼ります。そこで、公園で長太郎がベンチの上で逆立ち。私はこの逆立ちが『俺はあばれはっちゃく』の中ですごい逆立ちだと思いました。

エミリーは公園で、公一、正彦、恵子ちゃん、明子、小百合と羽子板をして遊んでいて楽しそう。長太郎の作戦には、このメンバーも交じって、獅子舞になってヒトミちゃんの家に行って、ヒトミちゃんのママも脅かします。

日本のお正月らしさをヒトミちゃんのママに思い出してほしかったのかな。今度は長太郎が獅子舞をしますが、本職の4代目松本源之助さんが出演されていますから、獅子舞の指導を少しはされたのではないかな?って思ったりもしています。

何よりも、エミリーの気持ちを無視したヒトミちゃんのママに効き目があったのは、長太郎とヒトミちゃんの言葉よりも、片言のエミリーの日本語の

「ママさん、英語、ぜんぜんダメね」

かなって思います。

ヒトミちゃんのママのもてなす相手の心を見ない思い込み、自分が短大を出ていて、12話で英会話を学んでいて、英語が通じて、アメリカ人のエミリーがホームシックにならないようにアメリカの食事を用意して、エミリーの気持ちを分かったつもりになって、エミリーとちゃんと会話、コミュニケーションをしなかったから意思の疎通が出来なかったことによるヒトミちゃんのママ相手に起きたエミリーの暴走。

ちょっと、長太郎が閃いたやり方での、ヒトミちゃんのママへの懲らしめというか、エミリーの気持ちを知ってもらうやり方にはヒトミちゃんのママが可哀想に感じてしまうのですが、一方的に相手の言葉を聞かずに相手の為と思って突っ走るのも考えものだなって思いました。

騒動が終わって、美玉神社でお祓いをするのですが、エミリーが最後の一暴れをして、長太郎にとばっちり。

お正月も賑やかに過ぎていきました。

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