柿の葉日記

主にテレビドラマ「あばれはっちゃく」について語る個人ブログです。国際放映、テレビ朝日とは一切関係がありません。

ちゃんと見てくれる人がいる職場

 

アバンタイトル

「WANTED 列車強盗 ビリー・ザ・はっちゃく $50000RENWARD」の文字に長太郎の似顔絵。

西部劇のような舞台から始まる今回のアバンタイトルは、ヒトミちゃんがインディアンに扮した公一、正彦、恵子ちゃんから追われていて、それを長太郎が助けるという展開。助けてくれたお礼にヒトミちゃんが頬にキスして、キスマークをつけてカッコよく立ち去っていきます。

そんな長太郎を見ながら、正彦が

「ちぇっ、カッコつけちゃってさ」

一言。珍しく、長太郎がおいしい思いをしたまま終わるアバンタイトルになっています。

本編

父ちゃんの職場から始まる本編。いきなり、正彦の父親が父ちゃんに怒っています。どうやら、父ちゃんが出した倉庫の建築の見積もりが他社よりも高いことに怒っている様子。

他社の見積もりを見せて父ちゃんを責めるも、父ちゃんはこの仕事はそんな値段でやるのは、おかしい。バーゲンセールの安売りじゃないんだから、と笑い飛ばします。

安さ優先で、安全性を度外視した仕事よりも、ちゃんとしたものを作るだけの費用を父ちゃんは出しているのに、安さを求める正彦の父親と意見が対立。挙句のはてに父ちゃんが予算を横領しているという疑惑までかけられて、父ちゃんは仕事を辞めてしまいます。

半分サラリーマンとはいえ、大工職人でもある父ちゃん。しっかり責任のある仕事をしたいのと、横領疑惑までかけられてたとはいえ、仕事を辞めてしまうところが父ちゃんらしい。

長太郎が家に帰り、ドンペイの散歩に行こうとした時に母ちゃんから声をかけられ、父ちゃんが夕食を外で食べるといい、そこで、仕事を辞めたことを家族に話します。お座敷でお鍋を食べているんですが、お鍋が豪華でおいしそう。父ちゃん、かなり奮発しましたね。

長太郎は、父ちゃんが正彦の父親の部下でなくなることに大喜びしますが、てるほは今後の生活の心配を口にしていて、母ちゃんの顔は曇っています。

翌朝、父ちゃんは自転車に乗って、大工として使ってくれるところを探し回ります。しかし、簡単には仕事が見つからず。

この話では、桜間家の男性と女性で、仕事を失った後の対応が違います。能天気な長太郎と父ちゃんと、現実の生活を今後どうしていくかと悩んでパートに出たり、節約を考える母ちゃんとてるほ。

学校では、正彦がヒトミちゃん、公一、恵子ちゃんに父ちゃんの首の話をしていて、正彦に長太郎の仕返しを心配するみんなに正彦が父親同士のことは、自分と長太郎には関係がないと言い放ちます。

そこへ、父ちゃんが独立して社長になると思っている長太郎はご機嫌で、逆に公一達から心配をされてしまいます。

昔のつてで仕事を探しても、先代が亡くなっていて、昔なじみのところも代替わりをしていて、父ちゃんに対しても冷たく、父ちゃんも大好きな晩酌を控えるほど。

父ちゃんは仕事をとれない危機感を感じだしますが、長太郎は『ドラえもん』を見て大笑い。そこに母ちゃんがパートの仕事をしてもいいか?と父ちゃんに尋ねます。どうやら母ちゃんは、公一の八百屋を手伝うとのこと。公一のところは、母子家庭で公一の母ちゃん一人で八百屋を切り盛りしているため。

母ちゃんがパートに出ることで、てるほも長太郎に無駄遣いは出来ないと釘を刺して長太郎も本当に心配を始めます。長太郎は、看板を持って、父ちゃんの仕事を宣伝して回りますが、押し売りだと思われ水までかけられ、追い払われてしまいます。

父ちゃんは、最初に倉庫の建築を依頼した知り合いの工務店に行き、仕事をもらいにいきますが、仕事をあげたいし、協力をしたいけれども、父ちゃんの腕で何でもっていうのは……。と首を捻ります。

父ちゃんはどんな小さな仕事でもと思っているのでしょうが、父ちゃんの腕に見合う仕事となると、そんな小さな仕事をさせるのはという気持ちなのでしょう。

父ちゃんと長太郎は仕事を得る難しさを経験し、仕事を貰う、することの難しさを感じて、ぼやきますが、それでも、前向きな言葉を口にしていきます。

前向きな言葉と、愚痴。仕事ってそんな狭間の気持ちの中であるのかもしれません。

一方、最初の父ちゃんと正彦の父親の喧嘩の発端になった倉庫の建築で、倉庫の建築が進んでいないことに、正彦の父親の上司が怒鳴り込んで、正彦の父親の不手際を責め立てます。どうも、安い業者に頼んだことで、お金だけとって、そのままとんずらをされて建築に手付かずのままということで、正彦の父親は自分が間違っていたことを知り、父ちゃんが頼んだ工務店に頭を下げるも追い払われ、父ちゃんに謝って仕事をお願いしようとして、なかなか決心がつかず、学校から帰ってきた長太郎に父ちゃんとの仲を取り持ってほしいと、嫌がって逃げる長太郎を追いかけてお願いをする始末。

大の大人が小学生相手に、必死でお願いする姿。職人としての腕のある長太郎の父ちゃんと違って、手に職がない自分は会社をクビになったら、正彦と2人でどうやって暮らしていけばいいかと泣きつきます。

長太郎は、それを聞いて考えを改め、父ちゃんに仕事の依頼が来たと依頼人として、正彦の父親に合わせますが、父ちゃんが怒って断り(当たり前だよなあ……)、長太郎は父ちゃんと衝突。長太郎は正彦の父親と2人で倉庫の建設に乗り出します。しかし、その手つきは素人そのもので、心配して見に来た父ちゃんは、いらいらして、ついに飛び出し、倉庫を作ると言い出します。職人としての血が騒いだのと、なんだかんだで、長太郎と正彦の父親が心配な父ちゃんらしい行動です。

正彦の父親の謝罪。父ちゃんに仕事を依頼するのが自分の最後の仕事になるといったところで、正彦の父親の上司が来ます。

父ちゃんにとっても、上司であるその人は、

桜間くん、君、随分、長い休みをとったね。

と一言。父ちゃんが会社を辞めたことを話すと、そんな話は私には届いてないよ。ただ、君が長い有給休暇をとっているだけだってと言います。父ちゃんも正彦の父親もしっかりフォローしていて、父ちゃんが間違ってないこと、正彦の父親が間違っていたことの責任を取らせる姿と、その後でしっかりとフォローする上司を見ていて、こういうちゃんと仕事での人の責任やしたことの評価を出来る上司がいる父ちゃんの職場って、すごく理想的でいい職場だなって思いました。

表面上のことしか見ないで、人を判断する人が増えた今、もしかしたら、このドラマが放送されていた時代も現実は既にそうだったのかもしれませんが、このドラマの中に一つのユートピアがあるように感じました。

現実の厳しさと架空のドラマだから出来る温かさを感じた話でした。

それにしても、父ちゃんのまた新しい門出を祝うのに、正彦の父親がご馳走するという言葉に、

おじさんは、本当はいい人なんですね。 

 と言う長太郎は現金ですね。結局、めざしになって、正彦の父親がご馳走することはなかったですが、これは父ちゃんが丁重に断ったのでしょうね。後は、番組予算の都合でしょうか?

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親分の責任

 

アバンタイトル

今回は、クラスメイトのみんなとモグラ叩き。最初は、普通に長太郎が、ヒトミちゃん、公一、正彦、恵子ちゃん、明子、小百合に囲まれ声援を受けながら、モグラ叩きをしているものの、長太郎の見ているモグラが、恵子ちゃんになり、公一、正彦、小百合明子、ドンペイに見えていき、それでも長太郎が叩いていくものの、ヒトミちゃんに見えるモグラは叩くことが出来ず、これはインベーダーの時と同じですね。

やはりのゲームが人に見えて、長太郎がヒトミちゃんにだけは攻撃が出来ないという、長太郎の弱点をゲームで表現しています。

本編

脚本は田口成光さん、監督は川島監督。

登校途中にある、柳の下を通ろうとしている公一に声をかける長太郎。柳の下では、親指を握り隠して、息を止めて通らないと呪われるという、ヒトミちゃん達の話を真に受けている公一を笑い飛ばす長太郎。

柳の下を通る話を見て、思い出したのが小学生の時にあった校庭にあった柳の木でした。私の小学校にも同じような話があって、息を止めて素早くその柳を通り過ぎていたものでした。小学2年生とはいえ、なんで信じていたんでしょうね。

さて、ドラマに戻って、柳の下を通り過ぎようとして、公一の言うことを無視して通り過ぎようとした長太郎がタクシーにひかれかけ、ボールが当たってしまって、公一は長太郎に、呪いがあると話しますが、長太郎は偶然だと片付けます。

教室につけば、恵子ちゃんが悲鳴をあげて教室に入り込んできて、音楽室で誰もいないのにピアノの音がすると駆け込んできます。柳の下の呪いの件の次は音楽室の勝手になるピアノです。長太郎が音楽室でそのピアノを弾く幽霊をやっつけるために、ピアノの音がする音楽室に駆け込んでいき、ピアノを弾く人影を攻撃しますが、ピアノを弾いていたのは正彦。音楽会のために練習していたとのこと。確かに正彦は初登場の2話でピアノが特技で披露していましたね。

音楽室の入り口では、ヒトミちゃんと恵子ちゃん、明子、小百合が大笑い。どうやら、長太郎は彼女達にいっぱい食わされたようです。朝の公一の柳の下の呪いの話もヒトミちゃん達の話が発端だし、女の子達にいいようにされて笑い者になり、まんまと騙された長太郎が、怒って仕返しを始めます。

ヒトミちゃん達が噂をしている柳の下で三つ目女になって、夜に待ち伏せをするという。長太郎がこの三つ目女に化けるために、てるほの服や母ちゃんのメイク道具を使っているんですが、母ちゃん、つけまつげを持っているんですね。

まんまとヒトミちゃんにやり返した長太郎ですが、ヒトミちゃん達が佐々木先生を呼んできて、逃げる途中で「タロウ」と名乗る年下の子とあって、子分にして欲しいと言われます。急いでいる長太郎は、その子を身代わりにして逃げるように指示。長太郎は、タロウを追いかけている佐々木先生達を追いすごして出て行きますが、そこで躓いて、水溜りにはまり、てるほの服を台無しにして家に戻ってきて、案の定、てるほを筆頭に家族から怒られます。

このタロウと出会ったのが、今回の長太郎の災難の一つになります。今回のゲストはタロウとその父親の長太郎をひきそうになったタクシー運転手なのですが、タクシー運転手を演じていたのが野呂圭介さんなんですよね。

野呂さんと言えば、思い出すのが『元祖!ドッキリカメラ』です。この番組を知らない若い人達でも、相手を騙す「ドッキリ」を知っていると思いますが、今回の長太郎がヒトミちゃん達に騙されたのも、長太郎がやり返すのも『ドッキリカメラ』を思い出させるので、ゲストの野呂さんに合わせたものかなって思います。

翌日、学校で佐々木先生が、昨夜の三つ目女の騒動のことを持ち出して、人を驚かしたり、騙すことを諭します。

下校中にタロウがタクシーをペンキで塗っているのに出会い、ペンキ塗りを注意しますが、頼まれてやっているというタロウの言葉を真に受けて、タクシーの運転手に怒られてしまいます。母ちゃんが平謝りをして、ペンキを落とす代金を払うことに。

長太郎は自分を騙したタロウを追いかけて、その先でタクシーの手入れをしていたタクシー運転手と出会います。ここで、タロウとタクシー運転手が親子だとわかり、タロウもアユミという女の子だと分かります。

長太郎とタクシー運転手の父親が揉めている間に、アユミはタクシーのカーラジオをつけ、運転を始めます。長太郎とタクシー運転手の父親は大慌て。カーラジオからは、さだまさしさんの『関白宣言』が流れています。

アユミは女よりも男の方がかっこよくて、憧れていて、長太郎のようになりたいと言いますが、アユミの父親は最初の子は男の子だと思って育ててきたけど、女の子らしくして欲しいと長太郎にお願い。

女の子よりも男の子の方がかっこいいと思っているアユミ。この価値観って、女の子よりも男の子が優遇されているというのを見てきたり、女の子で損した体験からきているんだろうなって、長太郎との会話から感じるんですよね。

女の子を懲らしめるというアユミは長太郎以上のいたずらをやり始め、それはアユミの親分にされた長太郎の責任になっていきます。ヒトミちゃんや父ちゃん、アユミの父親からのお願いも合わさり、長太郎はアユミを男の子に憧れているのから、女の子に憧れるようにと作戦を考えます。

作戦は、簡単なもので女の子の強さを見せつけて、長太郎への憧れを取り除くこと。

このアユミが出てきてからは違うんですが、そもそも事件の元を作ったのが、ヒトミちゃん達が長太郎を騙して笑い者にしたことから始まっていて、アユミが勝手に暴走した責任を長太郎が取って、長太郎が痛い目にあってしまうのって、なんだか理不尽だなって思います。

最終的に長太郎の弱点であるヒトミちゃんが出てきて、アユミの気持ちを変えてしまうところは、アバンタイトルでのモグラ叩きで示された、ヒトミちゃん最強説が本編でも強調されているなって思います。ヒトミちゃんが長太郎を痛めつけて、アユミが男よりも女だと走り去っていった後で、長太郎を気遣い、痛めた体を心配してさすって声をかけるところにヒトミちゃんの優しさを感じます。

性差で感じる男女の損得、かっこ良さというのは、今の時代にもありますが、いつの時代にも隣の芝生は青く見えていたりするのかなとか、1979年代は女が強くなっていった時代でもありながら、まだ男性に比べて女性の立場が弱かった時代でもあったかなって思い出したりもした話でした。

長太郎が三つ目女になって、ヒトミちゃん達を驚かした以外は今回は長太郎は殆ど悪くないのに、責められたり、痛めつけられたりしたのは気の毒だと思いつつ、自分が知らない所で、しぶしぶ子分にしたアユミの行いの責任を取った今回の話は、親分、上司になって責任を持つことを伝えてくれた話だと思いました。

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正彦と長太郎の関係

 

アバンタイトル

道路にチョークで相合傘を描いた長太郎、ヒトミちゃんの名前を書いて、横に寝ていますが、雨が降ってきて、車に轢かれるというちょっと怖いですね。

本編

今回は、正彦と長太郎の友情が主役?というか、正彦の死んだお母さんの話です。回想シーンですが、正彦のお母さんの姿が初登場してくる話です。

正彦の母親の思い出の作文を皆の前で朗読するのですが、そこで、正彦の母親は3年前に亡くなっていることが分かります。

長太郎達は小学5年生の設定ですから、正彦は小学2年生でお母さんと死別したと分かります。

正彦のお母さんは、正彦の作文によると美人でフランス語が得意とのことですが、実際は、正彦の見栄が入っていてます。

正彦の作文で正しいのは、美人で優しいお母さんの所だけです。学校の場面から、桜間家の夕食の場面へ。そこへ父ちゃんが家に帰ってきて、父ちゃんの上司で部長の正彦の父親に怒れて、荒れていて、母ちゃんも

「奥さんがいればね」

って言って、長太郎が授業での正彦の母親の作文の話を持ち出し、母ちゃんの知り合いの女性を紹介してみたらと話が発展して、正彦の父親のお見合いの段取りを取り付けます。

この秋山左知子さんを演じている一谷伸江さんは、4代目『痛快あばれはっちゃく』で『俺はあばれはっちゃく』の正彦に当たる信彦の母親役でレギュラー出演されます。

正彦が父親の為に、新しい父親の結婚相手を迎えるのを自分に言い聞かせるようにして、自分の気持ちを抑えながらも、左知子さんの失礼な正彦の母親の思い出を壊すようなことを言う為に、正彦の我慢していた感情が爆発してしまいます。

普段、冷静な正彦だけに、正彦の我慢と亡くなった母親への思慕が伝わってきます。正彦の父親を思う気持ちも大きくあるだけに、正彦が母親への思いと父親への思いの間での板ばさみになっていて、父親の再婚で正彦が実母のことを忘れてしまうことを言われてしまうのが、正彦には一番辛いと言います。

お見合いで、正彦が飛び出してしまったので、長太郎が気にして正彦を追いかけて、正彦の思いを聞きます。

長太郎に本当の母親の写真を見せて、母親の本当の姿を長太郎に明かします。普段は、ヒトミちゃんを巡って、いがみ合うことも多い二人ですが、長太郎に作文で書いたことが嘘で本当の母親の姿をはなし、父親のお見合いに対して嫌な気持ちを語る姿は、正彦の中で長太郎を友達だと思っているからかなって思ったりもします。

さて、長太郎は正彦の気持ちを聞いて、アイディアを閃きます。しかし、正彦のために出したアイディアで信頼して話したのに、長太郎ってばあっさり正彦を裏切ってしまうんですよね。

正彦を助ける為に知恵を貸す代わりに

優等生面するなよ、ヒトミちゃんと仲良くするなよ。 

 って、条件出したくせに。でも、これが最後の落ちに繋がっていくんですよね。

長太郎の裏切りで、家出していた場所から高所恐怖症なのに、廃墟のビルの上へと逃げていく正彦。

長太郎が助けに行くんですが、正彦がかなり危ない場所で宙吊りみたいになるんですが、これ、本当に高所恐怖症の人だったら、倒れてしまいます。

父ちゃんや正彦の父親も助けにきて、正彦の場所に行く途中で出会ったヒトミちゃんや恵子ちゃん、公一も見守る中、正彦が助け出されて、一件落着。

左知子さんにお断りをいれたことを報告に来た、父ちゃんと母ちゃん。正彦の父親のご機嫌をとる算段もこれで露と消えてしまい、返って恨みを買ってしまいました。

左知子さんは、正彦みたいな神経質な子どもがいるなら、だめってことで断るつもりだだったとケロッとしています。

正彦と正彦の父親が和解して、より強い絆が出来たようです。

学校に戻ってきた正彦はいつも通り。みんなに勉強を教えて得意顔。ヒトミちゃんも尊敬の眼差しです。

面白くないのは、長太郎。

優等生面するなよ、ヒトミちゃんとベタベタするなよ

 って、約束したのにと正彦に怒りますが、

君だって約束を破ったじゃないか 

 とあっさり。高所恐怖症を助けてやったのにと長太郎が食い下がっても、

君、過ぎたことは忘れようよ 

って返します。今回は正彦の弱みを掴んで、長太郎が優位にたったり、正彦が長太郎を頼ったりといつもの長太郎と正彦の関係とは違うものがありましたが、最後には、いつもの調子の二人の関係に落ち着きましたね。

長太郎と正彦。佐々木先生が言うには、二人は友人関係なんですが、なんといいますか、同じ友人でも公一とは、また違う友人関係になっていて、面白いですね。 

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父ちゃんの親友は詐欺師?

 

アバンタイトル

今回も空を目指す長太郎。大きなパラソルとアルミの風船で空を飛びます。しかし、これは、授業中に見ていた長太郎の夢。久しぶりの長太郎だけのアバンタイトルだと思いましたが、夢から覚めるといつもの教室で、佐々木先生も、公一も、正彦もヒトミちゃんも明子も小百合も揃ってます。恵子ちゃんだけ姿を確認出来ませんが、位置的に佐々木先生の影になっているようですね。

本編

今回の脚本は田口成光さん、監督は山際永三監督です。

父ちゃんが紙の筒を片手に自転車をこいでいます。ふと、質屋近江屋(おおみや)に大きな風呂敷に包んだ男性の姿を見つけて、父ちゃんの動きが止まります。

もしかして、田中……?な、わけないよな。 

 どうやら、父ちゃんの知り合いに似ているようです。父ちゃんが首を傾げていると、画面奥から長太郎がドンペイと模型飛行機を片手に持ってきて、父ちゃんに声をかけて走り去っていきます。その後、父ちゃんは確信をもって、質屋の前にいた男性を知り間と確信して、にっこりと笑います。

場面は変わって、長太郎は川原で佐々木先生や、ヒトミちゃん、公一、正彦、明子、小百合達が模型飛行機を飛ばしているところにいって、長太郎も持ってきた模型飛行機でその仲間に入ろうとするのですが、一緒に連れてきたドンペイが正彦の模型飛行機を壊してしまいます。もちろん、長太郎はドンペイが壊すのを止めるのですが、阻止することが出来ませんでした。

ヒトミちゃんと公一は、長太郎に正彦に謝るように言いますが、長太郎は自分が壊したのではないと反論してきます。それでも、ヒトミちゃんは、

だけど、ドンペイはあなたの犬でしょ?謝りなさいよ。

 しかし、その謝り方がいい加減なので、ヒトミちゃんはその謝り方に怒ります。そこへ佐々木先生がやってきて、公一がことの経緯を話します。当の模型飛行機を壊された正彦は、

もう、いいよ 。また、新しいの作るから。

 と言って壊された模型飛行機を捨てて走り去っていきます。この時の正彦の気持ちを考えるとどんな気持ちだったのかなって思います。公一は、正彦が模型飛行機を作るまでに1週間もかかったと言っています。それだけ、苦心して作った模型飛行機が見るも無残に壊れてしまったのだから、いつもは長太郎の味方である公一だって、長太郎にヒトミちゃんと一緒に謝るようにと強く言うのです。

しかし、ヒトミちゃんに言われても、公一に言われても、長太郎が悪いのはドンペイで自分は悪くないという態度を変えないままでいるのを見て、正彦は、今、どんなことを言っても無駄だと感じて、諦めてしまったのではないか?と思います。

それでも、一生懸命作った模型飛行機を壊された悔しさがあり、既に壊れてしまったこともあって、模型飛行機を投げ捨てて走り去ってしまったのかな?って思うと、正彦のの長太郎やヒトミちゃん、公一、恵子ちゃん、明子、小百合、佐々木先生の前での冷静な言葉とその場を離れなければ収まらない怒りと悲しさを感じると、正彦のやり切れない気持ちを感じてしまいます。

「長太郎、早く謝れ」

「でも、もう、いいって、言ってるじゃん」

「長太郎!正彦はお前の友達じゃないのか?みんなもよく聞きなさい。いいか?友達というものはな、そうは簡単に出来るものじゃないんだ。正彦に頭下げて謝れ。飛行機もちゃんと修理して返すんだぞ。いいな」 

 正彦が走り去った後、佐々木先生は長太郎も含めて、そこに残ったみんなにも、友達の大切さを語っています。

家に帰り、長太郎が正彦の飛行機を修復していたところに、父ちゃんが質屋で見かけた田中さんを連れて帰宅してきます。田中さんは、父ちゃんの中学生時代の親友。父ちゃんと田中さんは、15年振りの再会です。

父ちゃんと田中さんの関係と、長太郎と正彦の関係が今回の話は少しシンクロしていきます。

田中さんは、父ちゃん曰く、スポーツも勉強も何でも出来た優等生だったとのこと。それを聞いた長太郎は、「正彦みたい」だと納得します。 

さて、父ちゃんは質屋で田中さんが抱えていたものが気になり、その中身を尋ねてあけてみると、立派な壷が出てきます。田中さんは工場を経営しており、新しいシステムをいれるのに、お金がいるから、壷を売りたいといい、それを聞いた長太郎は骨董品が好きな正彦の父親、父ちゃんの上司の部長に売ることを提案します。

夜中、長太郎がトイレに起きると、田中さんが壷の箱を抱えながら、何やら悩んでいる姿を見つけます。この時と、冒頭で質屋で悩んでいる田中さんの姿が、今回の話の事件に発展する一つの振りになっています。

翌日、父ちゃんは会社に壷を持っていき、正彦の父親は壷を見て、値打ちものだと喜んで、300万するものを50万で買える事で大喜びします。

学校へ行った長太郎は、正彦の飛行機の修理のことを聞かれ、昨日は父ちゃんの親友がきたので、まだ、修理が終わってないことを伝えて、走り去っていきます。

家に帰り、飛行機の修理の続きをしている長太郎の所に田中さんが来て、長太郎の飛行機の修理を手伝います。この時に、マッチを取り出して、長太郎に飛行機の修理のコツを教えながら、飛行機を直します。田中さんの器用さに感心する長太郎。直った飛行機を手に持って上に上げて動かしながら、田中さんは羨望の目をして呟きます。

飛行機はいいな。どこにでも自由にいけるんだから。

 この言葉は、その後の田中さんの胸中を知ると、じんわりとしてきます。翌日、直した飛行機を持って学校に行き、正彦に謝って手渡した長太郎に向かって、正彦が怒りを示します。正彦の父親が父ちゃんから買った壷が、元々、壊れていて、それを売りつけた長太郎と父ちゃんに対して、自分の父親を騙してお金を取り、恥をかかせたことを正彦は怒っているのです。

正彦の家は父子家庭です。自分のことでは、怒りを抑えた正彦が父親が騙されたことに関しては、クラスメイトのみんながいる前で、怒りを抑えなかったのは、正彦の父親思いの優しさを感じることが出来ます。正彦の中では、自分のことよりも母親が死んでから男手一つで育ててくれた父親が一番、大事な存在であることが分かるのです。

正彦に自分だけでなく、父ちゃんまで詐欺師扱いされた長太郎は、何がなんだか分からず、父ちゃんを詐欺師扱いした正彦に怒りを示します。長太郎にとっても、父ちゃんは大好きで大事な存在だからです。

長太郎と正彦。それぞれが、大事な父親の名誉の為に喧嘩をしてしまいます。全ては、田中さんの持ってきた壷のせいなのです。

父ちゃんの方でも、会社で正彦の父親から、壷が最近壊れていて、接着剤で直したもので、価値がないと言われたことを説明されて、父ちゃんは田中さんの言っていることと、上司でもある正彦の父親が鑑定を頼んでもらった結果の相違に戸惑います。

家に帰り、母ちゃんとてるほに事情を話し、50万円を直ぐに一括で出せない正彦の父親の足りない額を桜間家の預金から出したことを母ちゃんが言って、困っていると、てるほが今月の生活金の心配をして、壷を売るアイディアを出した長太郎を責めます。でも、その長太郎のアイディアはみんなが賛成したんですけどね。

田中さんの姿が消えて、父ちゃんは田中さんの経営する工場へ行き、田中さんの現在置かれている立場を知ります。今回の件で、長太郎も家族から責められますが、父ちゃんの親友の田中さんが起こした事件なので、やはり父ちゃんも責められます。田中さんを探す手がかりとして、飛行機を直してくれた時に使ったマッチの箱に書かれているお店から、田中さんの居場所を突き止めて、長太郎と父ちゃんは田中さんが戻ってくるのを待ちます。

父ちゃんは、こんな目にあいながらも田中さんを信じています。そんな父ちゃんの気持ちを聞きながら、長太郎はそういうものかな?というような顔をして聞いています。そこへ、田中さんが戻ってきて、父ちゃんは一瞬、笑顔を田中さんに見せるのですが、田中さんの申し訳ないような、悲しいような、なんとも言えない表情を見て、顔が少しだけ険しくなっていきます。父ちゃんと、田中さんの顔を見比べる長太郎。

少しの静かな時間の後、田中さんは、父ちゃんと長太郎の前から走り去っていきます。

追いかける長太郎。ついていく父ちゃん。お寺で水を飲んでいる田中さんを見つけて長太郎がつかみかかってきます。

よくも、父ちゃんを騙したな。俺の父ちゃんはな、今までおじさんが親友だからって、おじさんのことを信じていたんだぞ!この野郎!父ちゃんを裏切りやがって!

そこへ、父ちゃんが追いつき、田中さんに馬乗りになって責めていた長太郎をとめます。

「やめろ!長太郎!」

「父ちゃん!悔しくねぇのかよ!」

「もう、いいんだい」 

 田中さんは、起き上がり土下座して、父ちゃんに謝ります。壷を売る気はなかったことを、結果的に親友の父ちゃんを騙したことを。長太郎はそれを否定しますが、田中さんの壷を割ろうとしたという言葉を聞いて、長太郎は夜に壷を抱えていた田中さんの姿を思い出して、田中さんの言葉を信じます。

田中さんが工場が潰れたことを言わなかったことを父ちゃんは田中さんに言いますが、田中さんがその理由を言うと、父ちゃんは何も言わずに去っていきます。

田中さんの言葉を聞くと、父ちゃんが田中さんを親友だから、田中さんのことが分かると言ったのと同じように、田中さんも父ちゃんのことを理解していることが分かります。

それでも、だからこそ、田中さんのしたことは許せないことなのです。言葉では、田中さんは、

俺が全て悪いんだ 

 と言っても。その後で、田中さんはお金の整理がついて、父ちゃんに謝りにきて、お金を返しにきました。これで、一件落着となります。

26話との整合性がない

今回の話の落ち着き方に私は、首を傾げます。

それは、26話の話があるからです。26話の脚本が安藤豊弘さんで、今回が田口成光さんと脚本家が違うせいもあるかもしれませんが、同一の作品内で同一人物の言動、考えの違いを感じてしまうのは、どうなのだろうか?と思います。ちなみに、監督はどちらも山際監督です。

作品の人物の性格を5人の脚本家がいても、ずれることが殆どない『俺はあばれはっちゃく』だけに、今回の父ちゃんの友情に関しての僅かなズレは、小さいながらも敏感に感じ取れてしまいました。

26話で、長太郎と公一が喧嘩をした時に、父ちゃんが割れたお皿を例えに出して、友情の大切さを長太郎に話しましたが、それと同じように割れた壷と田中さんの気持ちがどうであれ、父ちゃんの信用を失わせた田中さんの裏切りが、割れた壷が完全に元通りにならなくても、友情は元通りになったという結果になったのに整合性を感じないからです。

父ちゃんは公一との友情が割れた皿と同じになる前に仲直りをしろといい、割れてしまうかもしれないところのギリギリのところで、友情を壊さなかった26話の長太郎と公一の時とは違い、今回の父ちゃんと田中さんの場合は、正彦の父親をも巻き込んで、実際の被害と裏切りをしています。

父ちゃんは、田中さんが謝り、お金が戻ってきたことで、元通りと笑っていましたが、本当にそうでしょうか。これで、正彦の父親も納得するのでしょうか。

話のラストでは長太郎が直した正彦の飛行機を持ってきて、みんなで川原で飛ばし、正彦も笑って長太郎を許しているように見えて終わっていますが、正彦の父親の気持ちは最後に出てくることありません。そこで、正彦の態度で推測するしかないのですが、最初に飛行機を壊された正彦の態度から見ても、これまでの正彦という人物を見ても、正彦の寛大な心があって許されたと思うしかないのです。

これは、父ちゃんにも同じことが言えて、親友の田中さんの置かれている状況や気持ちを知った上で、父ちゃんが田中さんがした裏切り行為を許した寛大な気持ちがこの事件を円満に解決したと私は思ってしまいます。

佐々木先生の言うように、友達は簡単には出来ません。信用を築き信頼を得るよりも、一度の裏切りで信頼を失うほうが簡単です。

今回、田中さんはちゃんと謝ってきましたが、それでも、信用を取り戻すことは難しく、相手が中学生時代からの親友の父ちゃんだからこそ、田中さんは許されたのだと思います。これが、巻き込まれて騙された正彦の父親だったら、田中さんのことは許さなかったと思います。

父ちゃんは上司の正彦の父親と常に会社で顔を合わせながら、田中さんのしたことを詫びて、何も知らんずとも自分が持ちかけたことで迷惑をかけたことを必死で謝ったと思うのです。父ちゃんが田中さんを笑って許した裏で、父ちゃんが会社で必死になって田中さんを庇いながら、上司の正彦の父親に詫びたのも、その後お咎めがなく、正彦が長太郎を受け入れたのも、全て父ちゃんの見えない責任感と優しさがあったと私は思います。

父ちゃんも被害者ですが、それでも父ちゃんはそれに対しては何も言わない。それは、きっと、田中さんが父ちゃんにとって、大切な親友にかわりはないからだと思うのです。

親友とは、そんなに簡単に出来ないし、切り捨てることも出来ない、大事な存在なのだということをこの話を通して感じました。

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やめるな先生

 

アバンタイトル

今回は珍しく、佐々木先生も登場。正彦、ヒトミちゃん、恵子ちゃん、明子、小百合達もいて、みんなで川原でフリスピーをしたり、バトミントンをして遊んでます。主役の長太郎と、その親友の公一はというと給食の白衣とコック帽をかぶって、寸胴でご飯を作っています。

どうやら、みんなが遊んでいる間に、長太郎と公一はお昼ご飯を作っているようです。公一が文句を言うと、長太郎が

公一、俺たちはな、たまには人に喜ばれることしなくちゃ 

って諭します。まあ、この二人が作る料理がまともでは、ないのですが。二人の料理が出来て、さあ、食べるぞってところで、その招待が分かって落ち。

 本編

第33話。『やめるな先生』は、佐々木先生が学校を辞めてしまうかもしれないという話です。こうして、1979年の本放送と同じ日にちに『俺はあばれはっちゃく』を見返すようになって、私はある偶然に気がついてしまいました。

この33話が放送された日は、1979年9月29日でした。この放送から32年後の2011年9月24日に佐々木先生を演じた山内賢さんがお亡くなりになりました。

5日のズレがあるとはいえ、佐々木先生が去っていってしまうという話が放送された日に近い日に、佐々木先生を演じた山内さんが逝ってしまうなんて、こんな奇妙な悲しい一致があるでしょうか。

私は、過去記事でも何度か書いてきましたが、子どもの頃に一番好きだった『あばれはっちゃく』の登場人物は、佐々木先生でした。

いつもよりも、長太郎に厳しい佐々木先生。それは、長太郎の為だと佐々木先生は言いますが、長太郎にはあまりそれが分かりません。

今回は佐々木先生の家庭の事情が分かる回でもあります。佐々木先生のお父さんは佐々木先生が子供の頃に亡くなっていて、母子家庭であること。実家は浜松で鰻の養殖をしていること。12話で佐々木先生は、美玉中央高校出身だと分かるので、佐々木先生は高校生進学で故郷、浜松を離れたことも分かります。

佐々木先生は実家で年老いて体の具合の悪くなった母親の為に、学校を辞めて実家に戻る決意をするのですが、その決断は長太郎を筆頭にクラスメイト全員の心を悲しませます。

長太郎が佐々木先生を辞めさせないアイディア。クラスメイトの全員の写真を撮って、それを本にして、浜松の先生に手渡すこと。

浜松までの電車賃がないのに、悩んでいると、てるほが自分のお小遣いを、父ちゃんが小遣いを渡してくれます。こうして、長太郎の気持ちを汲み取り、何も言わなくても、黙ってサポートする、姉てるほと父ちゃん、母ちゃんの長太郎を見守る優しさと温かさ。

浜松まで新幹線で行き、佐々木先生の実家を訪ねてみても、佐々木先生は留守。長太郎は佐々木先生の帰りを待つ間に、佐々木先生のお母さんの話を聞きます。

この話を聞きながら、長太郎の心境が変わります。ただ、静かに話を聞くなかで、顔の表情、目の表情が変わっていくのです。

佐々木先生が家庭の事情で辞めることを校長先生から聞いたとき、長太郎は自分の中にある「佐々木先生に辞めないでほしい」という気持ちが大きく、佐々木先生が先生を辞めてしまうことをとても責めて泣いていました。

あの長太郎がです。正彦、公一、ヒトミちゃん達も落ち込んでいて元気がありません。佐々木先生は、それだけ子ども達から慕われ、愛されている先生です。私だって、佐々木先生に辞めてほしくないのです。けれども、佐々木先生のお母さんの話を聞いていって、

「絶対に佐々木先生を辞めさせないぞ」

と意気込み、連れ戻そうと来た長太郎の考えが変わるのです。そこには、長太郎が自分の寂しさ、悲しさよりも大好きな佐々木先生とそのお母さんの為に、自分の気持ちを抑えて、自分の我侭を諦める姿を見ることが出来ます。これがどれだけ、辛いことか。

長太郎は佐々木先生を連れ戻すことを諦めて家に帰ります。そして、入れ違いに佐々木先生が戻ってきて、佐々木先生のお母さんが長太郎が持ってきた、クラスメイトの写真を束ねたお手製の本を佐々木先生に渡します。

自分の教え子たちの写真を見て、佐々木先生は泣いてるような怒ったような顔をしています。

長太郎、余計なことを

佐々木先生の中でも、教え子達との別れは辛いもの。それをなんとか、乗り越えて、実家に帰る決断をしてきたのに、断ち切った未練を呼び起こされた怒りと、自分を慕って浜松まで来てくれた長太郎の気持ちの有難さが分かって、嬉しさと怒りが同時に湧き上がっていたんだろうなって思います。

そんな、佐々木先生の様子を見て、佐々木先生のお母さんは、

賢一郎、本当にこれで良かったのかい? 

 と問いかけます。私は、この話もまた忘れることが出来ない作品です。佐々木先生の人を見る目や長太郎に対する子どもが持つ、純粋で真っ直ぐな、大人になれば困難な性格に対しての憧れ、人を一辺倒の評判だけで判断せず、上司である校長先生の前でも、長太郎の良さをはっきり言う佐々木先生の姿、最初は自分の感情を優先していた長太郎が、自分の感情よりも、大好きな佐々木先生のことを考えて身を引く優しさがあって。

この話では佐々木先生は戻ってきてくれますが、今はもう、佐々木先生を始め、歴代の長太郎の先生を演じてくれた山内さんはこの世にはいません。

けれども、こうして何度でも映像の中で会うことが出来るし、私や子どもの頃に『あばれはっちゃく』の先生に出会った人達の思い出から、佐々木先生が消えることはありません。

いつまでも、いつまでも。

収録DVD紹介

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子どもを育てる難しさ

 

アバンタイトル

川から巨大な桃が流れるところから始まったアバンタイトル。今回は昔話。長太郎も鬘をつけて着物をきており、ついてくるドンペイはほっかむりをしています。ドンペイ、いつもに増して可愛い。

大きな桃をみつけて駆けつけた長太郎はさっそく川辺まで運んで、大きな斧でいきなり桃を割ってみると中から、赤鬼が登場。この赤鬼、実は長太郎の姉、てるほなのです。

島田歌穂さんは、DVDBOX2の解説書にあるインタビューで、赤鬼の姿になったことも含めて、『俺はあばれはっちゃく』でいろいろなことをやったことに対して、このように話されています。

島田:それまではお姫様タイプだったり象徴的な役が多かったんですが、はっちゃくではいろいろな格好もしましたし、水や粉もかぶりましたから、女優として何があっても怖くないっていう度胸みたいなものを学んだと思います。良い修行をさせてもらったとも言えるでしょうね。 

 9月19日の記事で、『俺はあばれはっちゃく』のメイン監督だった山際監督の島田さんに対しての言葉を紹介しましたが、山際監督が島田さんを「お嬢様でおとなしい」と評価されていたのと、合わせて島田さんのインタビュー記事の言葉を読むと、島田さんが『俺はあばれはっちゃく』の中で、役者として成長出来たと感じるのです。

本編

今回の脚本は安藤豊弘さん、監督は山際監督です。

今日も元気にランドセルを投げて学校から帰ってきた長太郎、いつも以上にランドセル投げが決まって、ご満足。

なぜか、父ちゃんが家にいて何かを作っています。父ちゃんは会社を早引きしてきたようです。

父ちゃんがおもちゃ箱を作っているのを見て、何かを悟った長太郎は父ちゃんを冷やかし、母ちゃんの体を気遣います。

どうも、長太郎は母ちゃんが妊娠したと思ったようです。

しかし、この時の長太郎の父ちゃんに対しての冷やかしの顔の表情を見て、言葉を聞いていると、父ちゃんがスケベな人に見えてしまいます。小学5年生の長太郎ですが、どうやって妊娠するかを正しく知っているようですね。

父ちゃんは、後輩の岡一平の娘マユミちゃんのためにおもちゃ箱を作っていると答え、長太郎の早とちりに、父ちゃん、母ちゃん、てるほに呆れられます。

しかし、兄になれると思っていた時に、母ちゃんに対して、買い物から帰ってきたてるほを指差しながら言う言葉は、よくも、まあ、てるほの前で言えたものだと思います。

「母ちゃん、産むんなら妹のほうを頼むぜ。ただし、こんな勉強のゲジゲジ虫じゃなくてさ、可愛い妹を産んでくれよな!

画面手前にいる長太郎と母ちゃんの後ろで、いきなりの長太郎の言葉に唖然とするてるほの顔がなんともいえません。怒りより、何が起きてるのか?という感じでしょうか。

さて、長太郎は父ちゃんが作り上げたおもちゃ箱を一平さんのところへ届けにいくのですが、いきなり夫婦喧嘩の場面に出くわしてしまいます。

家に戻ってきた長太郎の話から、一平夫婦の喧嘩はいつものことだということ。そこから、長太郎の赤ん坊時代の話に花が咲きます。アルバムの長太郎の写真は白黒写真で、時代を感じます。1979年はすでにカラー写真が一般的になっていますが、長太郎がうまれた11年前(『俺はあばれはっちゃく』は少し時間の捩れでてしまいますが、放送されていた1979年の設定になっていますので、長太郎の生まれた年は1968年だと推測され、この頃は白黒写真のほうが主流でした。現在、50代の方達の赤ちゃんの頃の写真は白黒写真が多いと思います。私の知り合いの50代の方も赤ちゃんの頃の写真は白黒でした)

翌日、一平さんが父ちゃんに妻のなつこさんが実家に帰って戻らないことを相談して、マユミちゃんを預かるから、なつこさんを連れ戻して来いと言ってマユミちゃんを預かるのですが、マユミちゃんはドンペイ以外になつかず、長太郎が遊び相手をしても見向きもしません。懐かずしゃべらないマユミちゃんに手を焼く長太郎。

そんな長太郎に対して、父ちゃんは言います。

「しかし、マユミちゃんも変わっているよな。俺にも姉ちゃんにも、ぜんぜん口きかないんだぜ」

「それはな、小さい子の扱い方があるんだよ。おめぇ達が下手なんだよ」 

 夜、長太郎の部屋で並んで寝ているマユミちゃんの布団の乱れを直して眠る長太郎。翌朝、マユミちゃんの泣き声で目が覚めます。謝りながら泣くマユミちゃん。マユミちゃんはおねしょをしてしまったのです。マユミちゃんを慰め自分がしたことにして、布団を干した長太郎を、公一が見つけて教室の黒板におねしょの跡を描いて、クラスの皆で笑います。長太郎はそれを否定せず、派手にやったと自慢しますが、休み時間に佐々木先生には事の真相を話します。

「なるほど、あのオーストラリアのおねしょ地図を描いたのは、本当はそのマユミちゃんって子だったんだ」

「そうなんだよ、メソメソしていてうるさいから、俺がやったってことにしてやったんだよ」

「はは、しかし、それはいいことかもしれないな」 

「いいこと?」

「うん。マユミちゃんって子の心を開くきっかけになるかもしれないからな」

「どうだか!」

「いや、小さな子の心っていうのはな、ちょっとしたきっかけで、大きく変わるものなんだ」

 長太郎が家に帰ると、マユミちゃんは両親が迎えに来て帰った後でしたが、マユミちゃんは、ドンペイに会いたくて長太郎の家に戻っていこうとします。長太郎の家に行く途中で迷子になり、ヒトミちゃんが見つけて保護します。長太郎と公一とドンペイに会ったヒトミちゃんとマユミちゃん。公園でマユミちゃんの面倒をみて家に帰るように言いますが、マユミちゃんは嫌がります。

マユミちゃんは喧嘩ばかりしているパパとママが嫌いで、家にいてもつまんないと言います。登場した時から、無愛想で無口で無表情で、おねしょをした時に泣きながら謝るマユミちゃんを見ていると、両親の不仲が幼いマユミちゃんの心をいかに傷つけていたかが分かります。一平夫妻の夫婦喧嘩は、マユミちゃんへの児童虐待だったのです。

公園でマユミちゃんの扱いに困っていると、ポータブルゲーム機を持った正彦がやってきて、長太郎達がゲームに夢中になっている間に、マユミちゃんはドンペイとどこかへ行ってしまいます。気がついた長太郎達はマユミちゃんを捜しだし、川で流れているマユミちゃんを見つけて、長太郎が川に入って助け出します。

マユミちゃんがいなくなり、捜していた一平夫婦は長太郎の家に来て、父ちゃんに相談していたところに、マユミちゃんを助けた長太郎が帰ってきて、父ちゃんはいきなり長太郎を殴ります。これは、父ちゃんの早合点で長太郎がマユミちゃんを連れ出したと思ったからです。

しかし、川で助けた時にマユミちゃんの本当の気持ちを聞いた長太郎は、一歩も怯まず、マユミちゃんの寂しさを伝えます。マユミちゃんも父ちゃんの暴力から長太郎を守ります。マユミちゃんの心を知った一平となつこさんは、マユミちゃんに謝り、3人で家に帰ることに。お別れの時にマユミちゃんが長太郎の頬にキスをしたのをみて、長太郎に対してもマユミちゃんが心を開いたのを感じました。

3人を見送りながら、いきなり殴った父ちゃんに「酷い」と言った長太郎に、素直に非を認めて謝った父ちゃん。この開かれた桜間家の親子関係がいいですね。

今回は、親の影響が良くも悪くも子どもの心理に大きな影響を及ぼし、人格や心を傷つけてしまう怖さを感じた話でした。両親が絶えず夫婦喧嘩をすることで、他人とのコミュニケーションが取れなくなり、対人関係を築くのが難しくなってしまうケースもあることを知ると、親としてのあり方はどういうのが、子どもにとって良いものなのか?と思い、それを含めて子どもを育てる難しさ、苦労を感じました。

収録DVD紹介

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歌穂さんの誕生日

歌穂さんの誕生日

今日は『俺はあばれはっちゃく』で長太郎の姉、桜間てるほを演じた島田歌穂さんのお誕生日です。

島田さんのお名前を知ったのは、『がんばれ!ロボコン』を再放送で見た時です。

島田さんは、今もテレビ、ラジオ、舞台、旦那様でピアニストの島健さんとの歌のコンサートと歌手として、俳優として、ミュージカル役者として幅広く活躍されています。

こらからもお元気で、ますますのご活躍を期待しています。

昔、『俺はあばれはっちゃく』のメイン監督で『男!あばれはっちゃく』の初期監督だった山際永三監督とお会いしてお話をした時に、山際監督は島田さんに関して、てるほを演じていた時は、

「お嬢様なところがあって、おとなしかったところがおしかったけれど、あれだけ大成するなんて、すごいね」

って話されていたのを思い出します。

島田さんも、子役の端境期を経験されて、紆余曲折がありましたが、こうして長く活躍されているのが、とても嬉しいです。

島田歌穂さん、お誕生日おめでとうございます。