柿の葉日記

主にドラマ『あばれはっちゃく』について語る個人ブログです。

移行

これまで長年使ってきた『はてなダイアリー』から、この『はてなブログ』へ移行してきました。

一度、試しに移行したことはありましたが、長年の使い勝手や愛着からダイアリーに戻ってましたが、ダイアリーでカウンターが使えなくなるということなので、これを機会に移行することを決めました。

まだ、こちらの使い方が分からない部分はありますが、12年間のはてなダイアリーの記録のインポートも全て出来たのに安心して、以後はこちらで『柿の葉日記』を継続していきたいと思います。

人を大切にしないのは、事件の種をつくること

アバンタイトル

サーフィンをしている長太郎から。夏ですね。背景の海の絵を引いていくと、「夏のバーゲンセール」という文字とヨットを引いている公一の姿が。
ヨットは簡単な作りですが、長太郎の宝物のヨットを思わせますね。

本編

今回は、長太郎を騙して佐々木先生のところに遊びにいくといいつつ、勉強をさせることにしています。
みんなに騙されて長太郎のショック。
今回は、長太郎を騙したことで、正彦、ヒトミちゃん、公一、恵子ちゃん、明子、小百合が怒られます。
ヒトミちゃんという弱みを使って、勉強だと分かった途端に長太郎を上から目線で見下している明子と恵子ちゃん。
長太郎に勉強をさせるのなら、騙してもいいと思っているところが、良くないですよね。

怒りで帰ってきて、ドンベイにクレヨンで描いたみんなの顔を見せてますが、それぞれの特徴が出ていて似てますね。この後にドンペイにいう、友達のキャッチフレーズ?が酷いんですが、こちらも的を得ています。
その後で、母ちゃんに頼まれて父ちゃんの会社にお使いにいく長太郎ですが、正彦の父親に「遅い」と怒られて、嫌な気分になります。
そこへ業者の人が来て、正彦の父親に怒られています。

この業者のおじさんが今回の話の騒動を起こすゲスト人物です。
長太郎は、みんなに騙されたこと、お使いをして届け物を届けて正彦の父親に怒られたことで、自分の気持ちを踏み握られたことで、騒動を起こして、父ちゃんたちに怒られて、正彦の家に謝りにいくことになり、正彦に間違えられて誘拐されるのですが、その誘拐した正彦の父親に怒れた人も、本人が悪くないのに一方的に悪いこと、間違っていないのに間違っていると言われて、気持ちを踏みにじられたことが事件をする動機になっています。

相手が間違っている、時間までに来てくれない、自分が正しくて相手が間違っている、自分が間違っている可能性を考えないという、絶対的に自分は正しいところにいるから、相手を見下したり、罵倒してもいいという考えが、長太郎と誘拐犯になった業者を傷つけた長太郎の友達や正彦の父親に共通した考えにあり、相手を傷つけているという共通点があります。
15話と21話でもありましたが、今回も電話口で長太郎が声真似をしていて、長太郎の声真似の特技を聞くことが出来ます。

誘拐されて、長太郎のいたずら電話だと見抜かれて、父ちゃんが山本さんと長太郎をとっちめると誘拐犯に指示された場所へ行きますが、誘拐犯がやはり出来ないと戻ってしまったのを、誘拐犯の犯行動機を聞いた長太郎が再挑戦をするように説得します。
誘拐というのは、当然悪いことですが、今回は人を傷つける可能性を認識していても、それは相手のためだったり、自分が正しければ正当化されるという人の気持ちを考えない、上位主義が長太郎のいたずら電話や誘拐という事件を引き起こしているように感じます。

理由なき犯罪もありますが、相手にいたずら電話させる、誘拐させる原因を作っているのは、正しく間違っていないと思って人を傷つけている人達の心無い行動が原因にあるように感じます。
誘拐を長太郎のいたずらだと思い込んでいて、長太郎が誘拐される訳がないと、ヒトミちゃんの目撃も一笑に付した父ちゃんや正彦、公一ですが、本当に誘拐されたのを知って、父ちゃんは慌ててしまいます。この時は、気が気ではなかったでしょうね。

今回は、途中でヒトミちゃんが、本当に長太郎が誘拐されたと知り、心配したところは、ヒトミちゃんが可哀相でしたが、冒頭の長太郎を佐々木先生の家に誘い出すヒトミちゃんの言葉とあわせて、話の最後のヒトミちゃんの言葉を聞くと、冒頭のヒトミちゃんの言葉が実は本心だったんじゃないかな?って思えてきます。

「わたし、あなたがこないとさみしいわ」「わたし、本当に心配したんだから」

相手が悪くて自分が正しい、だから、騙しても、傷つけて自分の職権、立場をつかって仕事を辞めさせても、いいんだと相手の心や社会的立場を奪ってもいいというのは、傲慢な考えだということ、その踏みにじられた相手の悲しく悔しい気持ちが事件を起こすことを見て、人を大切にする心を感じた話でした。

切手コレクション

アバンタイトル

スーパーマンの格好で大砲に入って、空を飛ぶことを目指す長太郎のアバンタイトルからスタート。
長太郎の空を目指す挑戦は、かなり大掛かりになってきました。

本編

長太郎がヤギを学校に持ってきて、大騒ぎ。佐々木先生の言葉も納得です。
ヤギ飼いのアルバイトらしいのですが、なんでそんなイレギュラーのことをするのかと。
休み時間に、コレクションの切手を正彦に鑑定してもらっているヒトミちゃん。この2人以外にも長太郎以外のいつもの面子、恵子ちゃん、公一、明子、小百合達の間では、切手がブームになっていて、盛り上がっています。
切手一枚に高い値がついているということに、信じられない長太郎ですが、切手の価値を聞いて、ヤギのバイトよりも儲かると売ることをヒトミちゃんに勧めますが、ヒトミちゃんは拒否。

そんなことをしている間に長太郎のヤギがヒトミちゃんの切手を食べてしまうという事件が発生。
もうね、今回のヤギのバイトという無茶は、ヒトミちゃんの切手を食べる事件を起こすためにあったといっても過言ではない。
ヒトミちゃんの切手は、フランスの古い切手でコレクション価値の高い貴重なものであるというのもあるのですが、ヒトミちゃんが誕生日に両親からもらった大切な幸福の切手という価値があって、ヒトミちゃんの落ち込みが大きくなっています。

長太郎は、ヒトミちゃんの切手を取り戻すために、公一と一緒に切手探しに奔走して、フランス人のフランスの大臣を務めたペペールさんが持っているらしいことまで突き止め、たまたま来日しているというぺペールさんのとこまで公一と行きますが、途中で公一は逃げてしまいます。
公一の気持ちも分からなくもない、

「都合のいいときだけ、親友なんだから」

って言いながら、長太郎にここまで付き合っただけでも、えらい。しかし、長太郎はつまみ出されてしまいます。諦めかけたときに、家に戻ってヤギに餌をあげていると、首輪にヒトミちゃんの切手を発見。
喜び勇んで、ヒトミちゃんに届けにいって、めでたし、めでたしだと思いきや、返した後でヤギに食べられてしまうという展開に。
ああ、ヒトミちゃんに謝るためとはいえ、またヤギを連れてくるから。
ヒトミちゃんは泣き出すし、買い物から帰ってきたヒトミちゃんのママに長太郎は大根で叩かれるし……。
幸福な切手がヤギに食べられたことを聞いて、ヒトミちゃんのママは、ヒトミちゃんを怒った後で、

「あなたに怒ってもしょうがないわ。はっちゃくのせいね、ああ、幸福の切手が食べられるなんて、不吉な出来事の前触れだわ」

なんて言っちゃうし。それに対してヒトミちゃんが

「よして、たかが切手一枚で、人が幸福になったり、不幸になったりするわけないわ。迷信よ」

ヒトミちゃんは、切手を食べられて落ち込んだり、泣いたりしたけれども、長太郎を責めることはこの話の中で一度もしていません。それどころか、必死で切手を探してヒトミちゃんを気遣う長太郎に対して、優しさを見せています。ヒトミちゃんのママが、全部を長太郎のせいにしたら、ちゃんとママに対して怒っているし、長太郎に対しても

「切手を持ってきた自分の責任」

と言っています。ヒトミちゃんは、本当に相手が悪いことをしていて、原因の時は相手のことを強く責めますが、そうでない時には人を責めないし、なんでもかんでも長太郎のせいにする人達に対しても、反論して長太郎を庇ってくれます。
これは、原作のヒトミちゃんも同じで、ドラマもこの辺りからヒトミちゃんの優しさと正義感がより原作のヒトミちゃんに近づいてきたように思います。
この話は、ドラマオリジナルですが、ヒトミちゃんが持つ正義感というか、ヒトミちゃんが生きていくうえでのポリシー、筋の通し方、心の持ちよう、信念は原作のヒトミちゃんに近づいていると感じます。

切手一枚で人が幸せになったり、不幸になったりなんて、確かにヒトミちゃんのいうように迷信だと思いますが、この話ではそれで落ち込んだり、喜んだりしていて、ヒトミちゃんと長太郎の感情を大きく揺さぶっています。
本当に切手を食べられて、長太郎はもう一度、ぺペールさんに頼みにいきます。長太郎の宝物、父ちゃんが誕生日の時に作ってくれたヨットを持ち出して、お小遣いも全財産持ち出して、毎日、一生かけて足りない分を払っていくということまで言って、ぺペールさんにお願いします。
ぺペールさんは、「困ります」と言って、車を出して去ってしまいますが……。

どんなにお金を出しても、お気に入りのヒトミちゃんと同じ切手を手放さないと言っていたぺペールさんでしたが、翌日長太郎の家にやってきます。ぺペールさんは長太郎の優しさに感動して、切手をプレゼントしますと長太郎に切手を渡します。
今回は、ヤギ飼いのアルバイトで勝手にヤギを預かったことや、今回の切手騒動でかなり長太郎に対して厳しく怒っていた父ちゃんですが、訪問してきたぺペールさんと意気投合しています。ぺペールさんは、小さな船の模型を持ち出し、亡き父親の思い出を語ります。

長太郎が父ちゃんにヨットの模型を作ってもらったのと同じように、ぺペールさんも少年時代に父親に船の模型を作ってもらって、大事にしていたのです。父ちゃんがその船の模型を見て、しっかりと細工されて作られている船に感心をしています。父ちゃんが感心するほどの精巧な模型。

「もう、父は亡くなってしまいましたが、これは(船の模型)僕の一番大事な物です。はっちゃくもこのヨットは世界に2つとない宝物といいながら、それを人のために手放そうとした。その気持ちに僕も感動しました」

ぺペールさんはお金では買えないものを長太郎にもらった事が嬉しかった。切手も、ヨットもお金では買えないもの。いや、買えるものではあっても、今では同じものが手に入りにくかったり、同じものがこの世にはないものだったり、そこに人の思いや歴史があって、市場価値でははかれない個人的な価値がある時に、かけがえのない物だったりすると、お金で買える問題ではなくて、人の心を動かすのは、人の思いやりの心や自分以外の人間のために動いた結果なのだなって思います。

「日本にきて、初めて日本人の真心に触れました」

今回は、話作りに無理を感じたりしましたが、お金では買えない大事な物の存在を教えてもらったように思います。子どもの頃には、ぺペールさんの父親ことを話す時に、愛おしく船の模型を見つめる目が遠い昔の過去を懐かしみ、私にとってその言葉が遠い未来の言葉に感じていましたが、私自身が既に父親を亡くしていて、父との思い出も遠い昔になって、父ちゃん役の東野さんもこの世にいない今となっては、父親を懐かしむぺペールさんの言葉が身近に感じてしまって、子どもの頃には感じなかった、そこはかとない寂しさも感じます。

長太郎は、ヒトミちゃんが長太郎を気遣った言葉を思い出して、手製の芋版切手を使って、手紙と一緒に封筒に入れてヒトミちゃんの家のポストに投函してヒトミちゃんに切手を渡します。
ぺペールさんの名前を使って手紙を書いた長太郎。
それをヒトミちゃんの部屋に持ってきたのは、ヒトミちゃんのママ。

「同じ切手じゃない、親切な人ねぺペールさんって、誰かしら」

字は明らかに子どもの字。ヒトミちゃんだけでなく、ヒトミちゃんのママもある程度、予測はついていると思うのですが、こうやってとぼけてくれているところに優しさを感じます。
翌朝、登校途中で長太郎に声をかけるヒトミちゃん。

「ありがとう。ぺペールさん」

切手一枚で人が幸せになったり、悲しんだり、国や年齢を超えて友情が芽生えたりした、素敵な話でした。

幻のオリンピックから

アバンタイトル

長太郎の重量挙げから。後ろには五輪のマークがあります。『俺はあばれはっちゃく』第20話初回放送は1979年6月16日。
『俺はあばれはっちゃく』は1979年2月3日〜1980年3月8日まで放送されていた作品なのは、皆さん、ご存知の通り。
翌年の1980年には、モスクワオリンピックが控えていました。だからこその、アバンタイトルのオリンピックネタだったのです。
残念ながら、日本はモスクワオリンピックをボイコットすることになり、日本と他のボイコットした国々にとっては、幻のオリンピックになってしまいました。

本編

脚本は市川靖さん、監督は山際監督です。
この話は、クラス会の劇『西遊記』の主役孫悟空が長太郎になるか、正彦になるかが話の始まりになっています。ヒトミちゃんは、長太郎の身軽さとおっちょこちょいの性格から、長太郎が孫悟空にピッタリといいますが、明子はかっこいい正彦君がいいといいます。ヒトミちゃんの言葉ですっかり主役になったつもりの長太郎は、父ちゃんの大工道具をつかって如意棒を作り、孫悟空になって活躍する夢まで見ます。
大工道具を勝手に使われて父ちゃんが怒ったのをかばった母ちゃんが長太郎をかばうのが優しい。
この時の夢の中の長太郎の立ち回りが見事で、長太郎役の吉田友紀さんの殺陣がとても見事です。

西遊記』の劇の脚本を書くのは、音楽教師の五十嵐先生。
五十嵐先生は、優等生の正彦を贔屓していて、長太郎に対しては、問題児として好ましく思っていません。クラス投票で2票差で長太郎に孫悟空が決まったものの、五十嵐先生が異議を出して演技で比べることを提案しますが、それよりも前に正彦に、まだクラスの皆の前では、出来ていないと言っていた脚本を先に正彦に渡してあって、長太郎には漢字が多い脚本を提案後に渡すという意地の悪いやり方をしています。
それでも長太郎は、裏でそんなことがあったことを知らず、姉のてるほに脚本で読めない漢字を教えてくれ!と土下座して頼んで、てるほを驚かせます。

翌朝の登校の場面では、あとの場面に続く情報が自然にさりげなく盛りこめられています。先に五十嵐先生からもらった脚本の写しを持って台詞を言いながら歩いている正彦、その正彦に声をかけるヒトミちゃん、驚いて紙を木の上に放り投げる正彦、後から来て正彦に声をかける長太郎。その後ろから大きな紙を丸めたものを抱えている公一。この4人の言動、持っているものを覚えておくと、後の展開で、ここで、これを使っていたのか、この展開につながっているのかが分かります。

必死で覚えていた長太郎ですが、全部を覚えることが出来ずに、公一の協力でカンペを使って、正彦との演技対戦に望みます。ここで、まず公一が抱えていた大きな紙を丸めていたものの正体が分かります。不正がばれた長太郎は馬の脚をやることになります。
しかし、三蔵法師役に選ばれたヒトミちゃんが正彦と一緒に台詞を覚えようとして、正彦の元へ訪ねた時に、ヒトミちゃんは五十嵐先生が先に正彦に脚本を渡していたことを知って、正彦に対して怒ります。

「正彦君って、そういう人だったのね。長太郎君よりも3日も前に台本をもらっていたなんて、そんなことまでして、主役をやりたかったの」
「発表会を成功させるためなんだ、しかたないよ」
「言い訳はよして!私、卑怯な人、嫌いよ!今になってはしかたないけど、発表会が終わったら長太郎君に謝ってね!いいわね!」

ヒトミちゃんの言葉に悔しくて悲しい顔をする正彦、台本を握り締める手の力に正彦の割り切れない悔しさを感じます。そもそも、五十嵐先生の要望を聞き入れてやった正彦にとっては、言い分があっても、結局、最終的に自分が決めたことであり、ヒトミちゃんが言うようにやはり、それは、卑怯であり、自分の言い分は単なる言い訳になってしまうということが分かって、ただ悔しさを口にせず、最小限の顔や手の表現であらわすしか正彦にはないので、より悔しさと悲しさと割り切れなさを感じます。

さて、登校時での4人の行動や持っていた意味についてですが、公一の時は、視聴者とドラマの世界では長太郎と公一以外は分からなかったことが分かり、ヒトミちゃんの時には、視聴者には正彦が持っていた紙切れの正体が分かっていたのが、ドラマの世界でドラマの中の住人が知るということになります。同じ、「正体を知る」という情報でも、少しだけ意味合いが違うのです。

次の日に、クラス発表会当日。正彦が熱を出して、ヒトミちゃんに連絡して、長太郎にどうしたらいいか?と助けを求めます。
この時の長太郎が閃く時のポーズは特になく、定番の逆立ちではありません。また、急なことでもあり、長太郎も焦りがあるのか、考え中にヒトミちゃんに声をかけられた時には、珍しくヒトミちゃんに対してやや乱暴な言葉を使っています。
クラス発表会での校長先生は、かなりおおらかに長太郎が出したアイディアの舞台を見ていて、物分りがいいように見えるのですが、この校長先生も後の33話では、五十嵐先生と同じような目線で長太郎を見ていたことが分かります。

なかなか、長太郎の良さをしっかりと認めてくれる先生は、佐々木先生以外には出てこないんだなって感じます。さて、長太郎の夢の中での『西遊記』の場面は、『俺はあばれはっちゃく』と同じ製作会社国際放映が1978年〜1979年まで日本テレビで放送されていた堺正章さん主演の『西遊記』がありましたが、それに似ています。これは、同じ国際放映だからこそだと私は思います。
また、『西遊記』の第2話には、『俺はあばれはっちゃく』の父ちゃん役の東野英心さんと、正彦役の草間光行さんがゲスト出演されているのです。

長太郎は台詞が覚えられない、漢字が読めないで、主役は無理と、言われたり、本人も言ってましたが、正彦の代役で機転を利かせて、皆の指揮をとり、ハチャメチャな舞台にしながらも、校長先生に認めさせています。
今回の脚本は、市川靖さんですが、この話の監督山際監督は、市川靖さんの脚本と相性が良く、一番面白いと、以前インタビューした時に話されていて、クラス発表会の劇の場面はスラプスティックに盛り上がっていて、山際監督が市川靖さんの脚本が面白いと話されたことに納得します。

何気ない登校の場面に後の展開につながる話の情報を詰め込み、後から自然にその情報の意味を視聴者に見せていき、ドラマ展開の流れに入れてきて、心に響く印象的な場面を作り、スラプスティックで盛り上げて、最後に長太郎とヒトミちゃんでほのぼのとしめる。話も20話となり、この頃には、既に1979年当時の子ども達の中に、『俺はあばれはっちゃく』が楽しいドラマとして心の中に住み着いていたと思います。

特ダネ記者

アバンタイトル

登山をしている長太郎。これは、単純なカメラのトリックですね。公一が出たところで、種明かし。
公一が大石を投げてエンド。実は平坦な場所を登っているように登る長太郎をみていると、演じている吉田友紀さんの巧さを感じます。

本編

さて、今回の話は学級新聞を作る話。脚本は三宅直子さん。

班ごとに学級新聞をつくるのですが、いつものレギュラーメンバーが同じ班になっています。
長太郎は編集長にヒトミちゃんを推すものの、ヒトミちゃんから

「あら、無理よ、私なんか。正彦君が編集長にピッタリだと思うわ」

と辞退して、正彦を推薦。恵子ちゃん、明子、小百合もその意見に賛成して、公一もそれにのります。長太郎一人が不満そうで、正彦の満足そうな満面の笑み。

「編集長が決まった班は?」

佐々木先生の言葉に、真っ先に手を挙げる正彦

「はい、一班では一人を除いて、僕が選ばれました。いい新聞が作れるよう精一杯がんばります」

それにしても、「僕が選ばれました」だけでいいのに、「一人を除いて」と長太郎に対しての嫌味を入れるのが正彦らしいなって思います。
その後の長太郎の悔しそうな顔を見る限り、かなり嫌味がきいているようですね。
なんとか、少しでも正彦と張り合おうとして、自分の家を学級新聞を作る場所として提供してくる長太郎。
あ、母ちゃんがピンクレディの歌、これは『カメレオンアーミー』ですね。この歌は2話にも登場してきました。母ちゃんノリノリで聞いてアイロンかけてます。

しかし、編集長になった正彦は恵子ちゃんに雑誌の切り抜き、明子と小百合に学校内のニュース集め、長太郎と公一に外への取材と役割をテキパキ指示、それでいてヒトミちゃんは秘書にして自分のそばに置いておくあたり、正彦はちゃっかりしていますね。
外に出て巡査の山本さんのとこへいった長太郎と公一ですが、何も収穫がなく、町内をうろつきます。
しかし、特ダネを探すあまりに、妊婦さんを乗せるタクシーを探している男性を泥棒と間違えたりと、いろいろと巧くいきません。
正彦達の編集部屋になった桜間家の居間は、デスクと書かれた紙で出来た三角錐があり、正彦の前には黒電話が。
母ちゃんにかかってきた電話も

「話は手短に」

と、人のうちの電話を占領していながら、もうどっちの電話だか分からない。今なら、個人で携帯電話、スマホがあって家電話を独占されても平気だと思いますが、この時代は電話は一家に一台が当たり前でしたから、電話の占領は母ちゃん、本当は困っていたと思います。
でも怒らないし、家に帰ってきて、切り抜きがぶら下がっていて、デスクの三角錐を邪魔だという父ちゃんに

「正彦君のデスクって本格的」

って褒めているあたり、母ちゃんのお人よしさが光ります。長太郎もネタ探しのために新聞を読んでいて、てるほにびっくりさせています。
牛が子牛を生んだ記事を読んで、目を輝かせているてるほに

「牛が牛を生むなんて当たり前じゃないか」

って悪態をついている長太郎がですが、これは、昼間に正彦から取材したネタ全てにダメ出しされて、無茶苦茶な例を挙げられたから。

「トマトの苗に林檎がなったとか、犬が人間に噛み付かれたとか」

もう、正彦の例えは無茶苦茶。それでも、次の日にヒトミちゃんが牛のニュースに関心があるのが分かると、それに賛同してそこへ取材へ行くことにする長太郎。他のメンバーも同意して、牧場へ向かいます。
実際に牧場に行っていて、これはロケですね。
私は、松本に住んでいた頃に美ヶ原高原で牛が放牧されていた時期によくいきましたが、牛の臭いってきついので、大変だったろうなって感じました。

お弁当でも正彦のヒトミちゃん贔屓が出ています。それと、2話以降、ご無沙汰だった正彦のカエル嫌いも出ていますね。
正彦は、ヒトミちゃん以外の女の子もちゃんと「ちゃん」づけで呼んでいるんですけど、わずかにヒトミちゃんを贔屓しているんですよね。
長太郎に対する嫌味、任された仕事での責任感と厳しさ、女の子達への優しさなど、正彦らしさが良く出ている話だと思います。

お昼の後で、長太郎とヒトミちゃんだけで別行動をするのですが、迷子になってしまいます。
この辺りから私の記憶に残っています。これは、DVDを買う前の子どもの頃に見ていた記憶で懐かしく感じました。
迷子になったヒトミちゃんと長太郎。これは遭難。火をおこしをしたり、魚をとろうとしたり、横井さんを例に出してヒトミちゃんを励ます長太郎。
横井さんが出てくるところに時代を感じます。

ヒトミちゃんの極端な絶望の考え方と長太郎の能天気の差がありますが、ヒトミちゃんの言葉に最悪な考えを長太郎も持ってしまいます。心細くなったヒトミちゃんがペンダントのロケットを開いて母親の写真を見ている時に、ロケットの反射で助かる方法を閃く長太郎。
無事に戻ってきて、ヒトミちゃんのママと父ちゃんに怒られ、学校でも佐々木先生に怒られる長太郎ですが、ヒトミちゃんの自分のことを助けてくれた長太郎への感謝の褒め言葉が素敵です。

「でも、先生。長太郎君はとっても頼もしくて、私、見直しちゃいました。そのことを新聞に書くつもりです」

ヒトミちゃんの横でしょんぼりしている正彦、照れて嬉しそうな長太郎。ヒトミちゃんの言葉で佐々木先生の長太郎への罰も軽くなります。
この話は、ところどころに「昭和」を感じる部分があって、正彦の性格のいいところ、悪いところが良く出ていて、最初の正彦の優勢から長太郎が優勢になっていく変化が面白く感じた話でした。
この話も、また楽しく懐かしく振り返ることが出来ました。面白かったです。

脂が乗ってきた

アバンタイトル

竹とんぼの巨大なのを使って空を飛ぶことをしています。随分とすごいことです。一応、少し飛んでますね。

本編

脚本は、安藤豊弘さん。
あ、長太郎の遅刻から話が始まってます。長太郎が遅刻魔になっていたのはこのあたりですね。
第1話から見てみると、長太郎は学校に行く前にドンペイの散歩に行っていたり、前回はマラソンの練習で早起きしているので、意外に早起きなんですが、この話から遅刻する印象が強く出ています。

廊下を急いで走って、テストを持って歩いていた佐々木先生とぶつかります。ここで、正彦のテストの点数をみんなに暴露してしまう長太郎。これは、ヒトミちゃんにたしなめられますが、これは長太郎が悪いですよね。休み時間に公一にからかわれて、家に戻ればその話が母ちゃんが知っている情報源は公一。公一ってば、いつの間に。
その公一がきて、長太郎に嬉しい情報を持ってきます。休み時間のヒトミちゃんと正彦の会話を思い出して、一人で北海道に正彦が転校すると考える長太郎。
父ちゃんと正彦の父親の働くデパート(ダイエーのこと)は全国にあるからと。

夕食でも長太郎の妄想は止まらず、母ちゃんがヒトミちゃんに見える始末。長太郎の妄想の中の母ちゃんと同じ姿のヒトミちゃん可愛いですね。長太郎のおかしな様子に何も知らない父ちゃんは少し心配な様子。テストの点数を知っているてるほは呆れて、ちゃんと勉強しなさいよと怒ってます。
長太郎が正彦が転校するという誤解は、翌日、あっさり正彦に否定されて、父ちゃんには笑われて、てるほには勉強で挽回しなさいと言われて、長太郎の猛勉強が始まります。
翌日の登校時でも、暗記を邪魔されないようにしていて、公一がびっくりして逃げているのに、テスト直前まで覚えている長太郎にちょっかいを出すヒトミちゃんは、ヒトミちゃんだからこそ許されている特権ですね。しかし、長太郎が勉強している姿を嬉しそうに見ているヒトミちゃんが楽しそう。

テストが終わり長太郎にカンニングの疑いをかける正彦。誤解されることを得意に言っている長太郎も悪いのですが、勉強が出来ない、テストが早く終えたということで、正彦がそう考えるのも分かるのですが、それも短絡思考だなって思います。家に帰ると父ちゃんが正彦の父親に引越し先の家の手入れに時間がかかることで怒られてやけ酒です。
父ちゃんは、家を長く使えるように手入れをしていて、それを理解してない正彦の父親に怒られたことがショックなんですが、長太郎にしても、父ちゃんにしても正彦父子から信用されていないことが一番のショックだったように思います。
前日に会社を辞めるとグダを巻いていた父ちゃんでも、翌日はそれを忘れて会社にいつもどおり向かった父ちゃんを明るく見守る母ちゃんの優しさがいいですね。

長太郎は、父ちゃんのために正彦の父親に手紙を持って直訴。翌日、テストが返されて長太郎の点数が前回の13点から倍の26点になったことが分かります。ここで、長太郎のカンニングの疑惑も正彦の中で晴れたのが推測できて、ラストの正彦の言葉につながっています。家に帰って来た長太郎の前に怒りの父ちゃんの姿。殴られると思った長太郎ですが、父ちゃんの笑顔と後ろに心配で出てきたのかと思ったてるほがにんまりと微笑んでいるのが見えて、てるほはもう全てを知っている様子。

父ちゃんは長太郎が正彦の父親に渡した手紙を読み出していて、ここで長太郎の『辞職願』を『辞食願』の誤植と正彦の父親給食費と言った理由が分かるのですが、てるほのフォローを見ると、てるほは手紙の内容は、父ちゃんが読んだことで知ったみたいなので、てるほは父ちゃんが正彦の父親に長太郎のお陰で褒められたことだけを伝えたところで、長太郎が帰って来たのだと思います。
今回の話は、必要最低限で長太郎と正彦、それぞれの父親の話がリンクしていていいですね。長太郎に今度の日曜日に正彦の家に行けと言う父ちゃん。
自分が謝りにいくのかと思っていた長太郎に、正彦の父親、部長が謝りたいとのこと。引越しの手伝いも兼ねて正彦の家に行く長太郎。ここで、ちゃんと謝れる正彦の父親がすごいと思います。

正彦の父親は、長太郎の手紙を捨てずに読んで、会社で父ちゃんに謝ったのも、簡単なようですごいことです。自分の過ちを認める。子どもで出来が悪い子だからと長太郎のしたことだからと相手にしないのではなく、ちゃんと受けとめる度量がなければ出来ないことだからです。
その父親に比べると、謝るにしても

「許してくれる?」

ってきた正彦はまだまだですね。ここは、長太郎の返しが粋です。
第2話で出てきた長太郎が誕生日にもらった手製のヨットが良い感じに、父ちゃんの大工仕事への向き合い方を示すことの事例のよい例で出てきて、話がつながっていて広がっているのがいいとも思いました。
この18話で、安藤豊弘さんが参加されて『俺はあばれはっちゃく』の脚本家5人が揃いました。安藤さんが持ち込んだ長太郎が遅刻魔という以外はそれまでに少しだけ話に出てきたヨットのこと、正彦が既に英語の勉強をしていることをこの話で生かしていて、更には少し意地悪な女の子だったヒトミちゃんに原作で持つ優しさを加えて、『俺はあばれはっちゃく』の世界をより豊かにしていたように、私は感じました。
『俺はあばれはっちゃく』に脂が乗ってきた時期だと思います。

たまえ登場

『走れ!初恋』の回で登場する、たまえは原作『あばれはっちゃく』にも登場してきます。しかし、原作を読むと分かりますが、性格がかなり違います。
ドラマでは、長太郎に恋するたまえですが、原作では違います。
脚本は市川靖さん、市川さんは5話から『俺はあばれはっちゃく』の脚本に参加されていますが、原作をしっかりと読み込み下地にして、原作にあるエピソードや人物を用いてドラマならではのオリジナル溢れる魅力ある話を書かれています。
また、長太郎の男らしさを一番引き出しているのも、私の個人的な意見ですが、市川さんが一番だと思います。

長太郎に好意を抱いている女の子は最初は、恵子ちゃんの役目でしたが、それもこの時期になるとなくなっていて、長太郎を好きになる女の子の登場は久しぶりになります。
これで、ヒトミちゃんがしっかりとやきもちを妬いているんですね。これは、後にノリコちゃんが出てくるまでないので、かなり貴重なといいますが、『あばれはっちゃく』の恋愛要素を扱った話としては、面白い話ですよね。

長太郎がヒトミちゃんに弁解していて、ヒトミちゃんが許してあげるところなんて、長太郎とヒトミちゃんはいつからそういう関係になっていたの?と思ってしまいます。

「私が長太郎君の彼女ですって!?」

って言っていたのは何だったのでしょうか?女心って分かりませんね。私も女ですが。
すぐに長太郎の家に押しかけて夕食の支度や夕飯まで食べてしまうたまえにてるほも怒ってます。ああ、弟の嫁の心配までする姉てるほ。たまえがお嫁にきたら、てるほがとの小姑関係が心配ですね。
その前に、長太郎がたまえを相手にしませんが、この話では長太郎が5年連続のマラソン大会1位を目指すのと、たまえに自分を諦めさせるためにワザと負けようとするので悩みます。

それにしても、長太郎の空想の中の正彦の余裕って、この回の正彦は長太郎のクラスにクラスが違うのに押しかけてきたたまえに自分をアピールするなど、女の子なら誰でもいいのかいっていうプレーボーイぶりを見せています。この正彦のプレーボーイ振りは後の話でも登場してきます。正彦は、東京からの転校生ですが(初代の舞台は神奈川県)

「東京にいた頃は、ちょくちょくね(女の子とデートしていた)」

と言っています。
さて、マラソン大会の当日、計画通りにワザと遅く走って、たまえに

「人間のクズや」

って言われて計画の成功を喜ぶも、やはりワザと負けることが悔しく感じる長太郎、たまえの言葉、父ちゃんの言葉で腹を決めて巻き返しをはかります。
この長太郎の巻き返しがかっこいいですね。たまえでなくても惚れ直します。
この話でも公一がコメディーリリーフとしていい味を出しています。

さて、ゴールで待っている女子たち

「わたし、長太郎君がトップだったら許してあげよ」

うん。ヒトミちゃん、完全にこの時期から確かに長太郎のことを好きになっていますよね。
この話は歴代の校長先生の名前もマラソン大会の賞状から分かったりして、いろいろと情報が満載なんですよね。
この話のラストで、たまえのバンダナがいい小道具として生かされていて、話の締めくくりもとてもいいんです。
この話もDVDを買って見返す前に覚えていた話で、懐かしく感じました。